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執筆者の写真Dancing Shigeko

小説『マスカレード・ゲーム』容疑者が仮面を外す時…



 こんにちは、Dancing Shigekoです!

 今回は東野圭吾作品 小説『マスカレード・ゲーム』を紹介します!

[基本情報]

 著者:東野圭吾

 出版社:集英社

 出版年:2022年

 ページ数:369ページ数


[登場人物]

新田

 警視庁捜査一課係長。(二係だったかな?)

 だいぶ落ち着いた感じが出ている。

山岸尚美

 ホテル・コルテシア ロサンゼルスに出向しているホテルマン。事件の対応で東京に呼ばれる。

 新田同様、ますます磨きがかかったように感じる。

本宮

 警視庁捜査一課係長。(四係だったかな?)

 お馴染みのキャラ。

 警視庁捜査一課七係長。女性であるハンデを意識して、対抗心を全面に出している。

 闘争心むき出しのゴリゴリっぷりは、綾瀬はるか演じる剣持麗子と通ずるものがある。

能勢

 定年を間近に控えた警視庁捜査一課七係の刑事。

 これまでの作品ほど目立たなかった感じではあったけれど、いい働きはいつもながら。安定感抜群。


[内容]

 都内でナイフで刺されて殺される事件が三件続いていた。被害者は全員前科者で、何かしらの形で人を死に至らせていた。

 それぞれの捜査を別々に行なっていたが、連続殺人と考え、合同の捜査本部が設置される。

 新田、本宮、梓3人の係長は情報を共有して捜査を加速させていく。すると、次の事件はホテルコルテシア東京で起きそうだと特定する。そして新田は三度、潜入捜査をすることになるのだった。


[感想]

 マスカレードシリーズ第四弾。過去二度、殺人未遂事件の舞台になったホテルコルテシア東京で再び事件が起きようとしている。

 阻止するために新田が奮闘する作品。ネタバレなくして語れない部分があり、ご了承ください。

<事件を通じて>

・考えさせられる世界

 日本の司法制度の問題提起というべきか、殺人をした犯罪者に対する罰が甘いというのが根底にある作品。刑期を終えたら、後は悠々自適に過ごしている、そんな感じで加害者たちが描かれる。

 さて殺人という取り返しのつかない事件を起こした時に、加害者に与えるべき罰とは何か。

 この作品で殺害された三人は過去に事件を起こし、その事件で人を殺していたり、あるいは結果的に被害者たちが命を落としたという犯歴がある人々。そういった人たちが服役後、普通に生活をしていたことを妬ましく思った遺族の犯行だろう、とされて作品は進んでいく。

 遺族の思いが描かれ、問題提起している。加害者は許されていいのかと。

 死を持って、罪を償うべし、という考え方もあるし、死なれたら怒りの矛先を失うだけと思う遺族の思いというのも分からなくもない。そこに正解はないものだとは思うものの、実に深い。

 ただ思ったのは、願わくば自分がどちらの立場にもならないでいたいということだろうか。あるいは自分の周りの人たちが、そうならないで欲しいということ。結局のところ、この先、こういった人たちが少しでも減ってほしい、と思う。

 犯罪が起きるから、苦しむ人々が生まれてしまう。とは言え、人間が生活する限り、何かしらの衝突は起きてしまうのだろう。そんな時、どうするのが良いのか。

 罪を犯した人は赦されてはいけないのか、それともセカンドチャンスが与えられるべきなのか。どうであったら良いのか。そういった問題を投げかけられてくる作品だった。


<馴染みの人たちと新参者>

・新田と山極

 新田が係長になって登場。捜査の指揮をとる側の立場になっていて、自ら動いて聞いて回るというのは少なくなったように感じる展開。そんな立場の新田が、ホテルで潜入操作をすると決まった時の人員配置に、部下たちを配置する提案。しかし、ホテル側が難色を示す。そして新田が潜入捜査に入るよう指示される。

 てっきり率先して潜入捜査をすると思っていただけに、だいぶ立場が変わって考え方も変わったのだと感じる。

 それを一番感じていたのが山岸だったのだと思う。彼女も新田を見て、より一層頼もしくなったと言う感じが出ている。それにこれまでの展開とは異なり、お互いのやり方に口出しをすることはなく、どちらかと言えば、信頼しあっているレベルに達している。

 そして共通の目的を成し遂げようとしている。この二人の完成しきった感じの関係が、時の流れを感じさせ、同時に安心感をもたらしてくれた。

 それだけに後半は、また山岸に何か良からぬことが起きるのでは、と緊張もする展開だった。

・新参者 梓

 その二人の前に混乱をもたらす新参者 梓。七係の係長にまで自力で登っていったという自負と男性にバカにされたくない、あるいは甘く見られたくないという闘争心から、違法ギリギリのことをやっていく。その様子を見ていると、初期の頃の新田の影も感じられる。

 昔の新田を、ホテルマンとしても熟練度が上がった新田が諭そうとしている、そんな風にも見られる場面が多々あって面白い。

 その梓、ゴリゴリ進めるだけではなく、きちんと結果を残していく。さらにすごいと思ったのは、自分に非があった時には素直にそれを受け入れる柔軟さがあったこと。単なる出世欲の塊ではなく、自分の目指すもののために頑張っていると言う感じが、決して嫌味な感じではなかったのだから不思議。

 共通の目的のためには多少強引なことをする、と言うスタンスには共感はできないものの納得できてしまう不思議な魅力がある存在だった。


<ホテルコルテシア東京>

・散策して回る

 今回は宿泊客が展望スペースへ行ったり、ホテルのレストランやラウンジ、2階のギャラリーなどいろんなところにいく場面が描かれる。地下1階の警備室や、おなじみの事務棟、さらにホテルの客室もいくつか描写される。1601号室や、911号室、他にもいくつも部屋が登場して、ホテル全体を動き回ったような感覚が残る描写だった。

 読了日:2023年2月7日


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 皆様の感想もぜひお聞かせください!


 それでは、また次回!



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