小説『マスカレード・ライフ』選考会の行方は!
- Dancing Shigeko

- 7 時間前
- 読了時間: 3分

こんにちは、Dancing Shigekoです!
前回からどう変化が起きているのか?
今回は東野圭吾作品 小説『マスカレード・ライフ』を紹介します!
[基本情報]
著者:東野圭吾
出版社:集英社
出版年:2025年
ページ数:383ページ
[登場人物]
新田浩介
ホテル・コルテシア東京の保安課長。元刑事。
山岸直美
ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク。
梓真尋
警視庁捜査一課の警部。
[内容]
灸英社の『日本推理小説新人賞』の候補に殺人の容疑者の作品が残った。選考会で受賞されれば、授賞式に容疑者が会場に現れる。そこで犯人を確保したいと考える警察は、選考会の会場をホテル・コルテシア東京に移してもらって、対応することを決める。
ホテル・コルテシア東京は、過去何度か事件の捜査に協力したことがある。警視庁から、ホテルの保安課長になった新田と、ベテランフロントクラークの山岸は、選考会の捜査の指揮官・梓とともに容疑者確保に動き始めるのだった。
[感想]
新田・山岸のコンビが今度は同じホテルの人として戻ってきた一冊。
・登場人物すべてが物語を作り出す
今回の舞台もホテル・コルテシア東京。選考会の対応方針から始まり、選考会当日までを描く。数日前からの設定で、ホテルに続々と”お客様”がやってくる。
その中には、新田の父親・新田克久や、殺人事件で犠牲になった女性の妹、大阪から宿泊に来た母娘、そして重要参考人も・・
これらの登場人物が、それぞれの宿泊生活を送っている。フロントに用事があって下りてきて山岸との接点を持つ。ホテルの日常を描きつつも、緊張感が漂っている。そこから徐々に彼らの存在が点から線になっていくという展開に、読み進めるにつれて、どうなっていくのか、と興味が刺激される。どんどん止まらなくなっていく展開だった。
・信頼関係が確立している二人
そんな内容を安心のものにしているのは、新田と山岸の絶対的な信頼関係と感じる。新田が捜査本部で聞いたことは山岸にも共有してみたり、山岸が少し様子が変と思ったことについては、新田に相談している。この二人の間に、捜査関連や宿泊者関連のトラブルなどの情報を随時共有しあっている。
何か捜査本部から無理難題を頼まれたら、山岸がホテルの代表として対応。新田が何度も口にする、最も信頼がおけるスタッフと言う。そこにも信頼関係の強さが描かれている。
このシリーズ初期の頃から大きく変化が起きたものだ、とつくづく。信頼しあっている二人の関係が、安心感をもたらしていたように思う。
ここに捜査本部の梓警部も加わって、それぞれの立場が上手に描かれているといった感じだった。
・予想外の結末
そしてストーリー。メインは殺人事件の容疑者がホテルに現れた時にどうやって確保するか、という骨格があって、その骨格と別にもう一本の物語が細く流れていく。新田克久陣営とでもいうのか。他の宿泊者たちがどんな目的で来ているのか、単なるリフレッシュ目的ではない彼らがどんな風にこの選考会に絡んでくるのか。それとも絡んでこないのか。
と言った観点で、読み進めていくと、ポツポツとイベントが発生する。その何気ない発言の中にも後半に繋がるヒントが含まれていて、読み応え十分。
選考会の描写も興味深い。受賞作品を決めるための、審査員たちの意見の交わし方。その内容もリアリティが溢れていて、こうやって受賞作が決まるのか、というのも読み応えポイント。
そして本流の結末。予想していなかった展開でありながら、納得の結末という感じで、実に中身の濃い一冊だった。
新田と山岸の最強コンビがいたら、ホテル・コルテシア東京は安泰と感じる一冊だった。
読了日:2025年10月27日
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それでは、また次回!
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