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小説『仮面病棟』ピエロ参上!

  • 執筆者の写真: Dancing Shigeko
    Dancing Shigeko
  • 7 日前
  • 読了時間: 3分

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 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 天久鷹央シリーズの作者作品に挑戦。


 今回は小説『仮面病棟』を紹介します!


[基本情報]

 著者:知念実希人

 出版社:実業之日本社

 出版年:2014年

 ページ数:340ページ


[登場人物]

速水秀悟

 本作品の主人公。調布第一病院の医師。田所病院の当直バイトをしている。

川崎愛美

 ピエロに誘拐される女性。

ピエロ

 強盗。田所病院に籠城する。

田所院長

 田所病院の院長。


[内容]

 速水は先輩の代わりに田所病院の当直バイトに入った。いつもは何もなく過ぎていく当直。この日は招かざる客がやってくる。それはコンビニ強盗をしたピエロ。通りすがりの女性・川崎愛美を撃ったから治療しろという。速水は愛美の治療を済ませる。

 ピエロは朝になったら出ていくからそれまで大人しくしていろと言う。速水たちは警察に通報しようと提案するが院長の田所は、それはダメだと言って断られる。そして彼らの長い1日が始まるのだった。

[感想]

 夜の病院で展開される強盗犯と医師たちの駆け引きが描かれる作品。

・もし自分だったら

 自分が当直の医師で、その時に強盗が入ってきたらどうしていたか。速水先生のようになんとか外と連絡を取ろうとしただろうか。怪我した患者の治療だけ済ませたら大人しくしていただろうか。

 ここでは速水とピエロだけではなく、田所も加わって三者の思惑のずれが面倒を引き起こしたと言う展開。そこに普段は起きるはずのない患者が騒ぎを起こしたり、カルテに意味深なメッセージを見つけるなど。

 いろんな要素が巧みに絡みあって、自然な?監禁生活という印象。

 そこに田所の隠し事が明るみに出て、ピエロとの更なる駆け引き。一連の流れは無難に過ぎて行ったと感じていた。


・まさかの結末

 ところが事件の真相が明らかになる終盤。まったく予期していない展開。この締めくくり方は予想していなかった。一言で言うなら、速水先生は複雑な気持ちになっただろうなぁ、というところ。実に自然にその結末までたどり着いたと言う感じ。

 ただ、なんだろう。意外な結末と感じた反面、どこかそうか、確かにそうでも不思議ではなかったか、と思わされる。

 どうなるのだろう、ではなく、どうなったのだろうからの手のひら返し系だからかな?


・何となく違和感

 ずっと気になっていたことがある。それは主人公の速水先生。当直を先輩と代わったことで巻き込まれたこの事件。医師であるということ以外には目立った特徴が無く、その彼が何が起きているのか、状況の説明をしていく。思考を整理していく。

 と言う展開。最後の部分も彼の考えた展開だと、こういうことだ、という締めくくりかた。それを裏付けるわずかな描写と言った感じ。

 そのためか、この出来事が速水先生の妄想だったのでは?と感じる部分が強く残った印象。実際に起きたのだろうけれど、速水先生の思考だけで結論づけられている描写のされかたが最後までひっかかった。


 予想外の結末。こんな結末になるとはピエロが現れたときには想像もできなかった作品だった。


 読了日:2025年11月16日


 皆様の感想もぜひお聞かせください!


 それでは、また次回!


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