こんにちは、Dancing Shigekoです!
さて、今回は東野圭吾作品 小説”レイクサイド”を紹介します!
[基本情報]
著者:東野圭吾
出版社:文春文庫
出版年:2006年
ページ数:278ページ
[登場人物]
並木俊介
アートディレクター。今回の合宿に初めて参加する。子供の話になると、実の子ではないから興味がないのでしょとよく咎められる。
並木美菜子
俊介の妻。前夫の子供 章太を連れて、俊介と再婚。俊介との関係は冷めている。
藤間
受験合宿のための別荘を提供する。メンバーの中ではリーダー的な存在。
藤間一枝
藤間の妻。
高階恵理子
並木俊介の職場の同僚。
[内容]
並木俊介は初めて、受験合宿に参加した。常連のメンバー(藤間夫妻、関谷夫妻、坂崎夫妻、津久見先生、各家庭の子供)たちは、そのことを意外だと考えながらも、みんなで子供たちの受験勉強の合宿を盛り上げようとしていた。
そこに俊介の同僚 高階恵理子が忘れ物と言って、荷物を届けに来た。実は高階は俊介の愛人で、俊介の妻 美菜子の浮気相手を調べていた。俊介は夜に英里子から詳細を聞くことになっていたが、待ち合わせの時間になっても彼女は姿を見せなかった。それどころか、別荘に戻ると俊介と美菜子の泊まる部屋に英里子の死体があった。美奈子は”あなたと別れろと言われ、カッとなって殺した”と言う。
この事態は合宿に参加している一同は隠蔽することに決め、俊介も死体遺棄に協力する。
しかし、俊介はみんなの異常な行動が理解できず、警察へ通報すると言い出すのだった。
[感想]
合宿先での殺人事件、そこに集まったメンバーが取った行動は死体遺棄。その結末がどうなるのか、予測不能な一冊。
・中学校受験に臨む四家族
登場する四家庭はいずれも小6の子供たちが、名門中学 修文館中学に入れるために夏休みを利用して受験勉強合宿をするという設定。まず受験のために合宿という発想がすごい。さらにそのために四家族が揃うという状況。四家族も集まって、一つの別荘に泊まるというのは、なかなかない。それだけに同じ目的のために、一緒に集まって泊まるというのはどんな感じなのか。
この小説の中では、宿泊そのもの自体の描写は多くないものの、それでも別荘近くのテニスコートでテニスをしたり、バーベキューをしたり、リビングに集まってゆっくりしあうというのは、実に楽しそうと思う設定だった。
・殺人を全員で隠蔽しようとする行動
今回、合宿初参加の並木俊介を除くメンバーには、暗黙の結束みたいなものが見え隠れする。
そんな前半の描写があり、高階英里子が殺害される。その死体を遺棄しようと提案する藤間。それに他の人が賛同するという流れ。最初、並木はそれは異常だと警察に通報しようとするのだけれど、藤間に説得される。そして協力する。
後から死体遺棄したことを知った坂崎も最初は、殺人を隠蔽することに協力することはできないと反発したにも関わらず、最後は協力姿勢になる。
そんなみんなの行動の裏には一体、何が隠されているのか。その謎が最後に明らかにされるのだけれど、その過程は理解に苦しむ。理由を知った後もなお、理解に苦しむ部分がある。さらに言えば、その話が本当なのかと疑問も残る。どうしても、藤間の言っていることが嘘に感じてしまう。
真相はどこにあるのか。気になる展開。
しかし、事件の真相を知った後よりも、何よりも突っ込みたいのは、並木俊介の言動。殺人事件を隠蔽するなんて異常だ、理解できないと言い続けている彼は、堂々と高階英里子と不倫していることを認める。そもそもそんな不徳な行動をしている人物が、他の人たちを咎められるものなのか。殺人と不倫では重さは違うのかもしれないけれど、並木俊介だけが善人っぽく描かられるのは、ちょっと違うように感じてしまった。(もっとも、それも最後には。。)
・姫神湖畔での合宿
おそらく架空の湖、姫神湖で合宿するメンバー。最終日の自由時間には、釣りに行くもの、近くの喫茶店でゆっくりするもの、工作する者と色々。またバーベキューをしたり、ボートもあるので、ボートに乗ることもできる。
夏場に湖畔で活動するのは、実に気持ちよさそう。そんなことを感じさせる場所だった。河口湖あたりだろうか、と想像しながら読み進めて、景色を作り上げて読むことができた。
殺人事件を隠蔽している行動の裏には大きな秘密が隠されていて、それが明らかになる時に、どう感じるものなのか、が問われている作品だった。
読了日:2021年8月20日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
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