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小説『パラドックス13』これは間違いなく恐ろしい世界

更新日:2023年5月13日


 こんにちは、Dancing Shigekoです!

 東京に緊急事態宣言が発令されるのか。早いこと終息して欲しい、


 さて今回は東野圭吾作品 小説『パラドックス13』を紹介します!


[基本情報]

 著者:東野圭吾

 出版社:講談社文庫

 出版年:2014年

 ページ数:562ページ


[登場人物]

久我冬樹

 所轄の刑事。

久我誠哉

 警視庁管理官。冬樹の兄。


[内容]

 3月13日13時13分に13秒間の時間移動が起きる。基本的には何も変化がないとされていた。

 その頃、久我誠哉は中国人犯罪グループの逮捕のために張り込みをしていた。課長から13時から20分間は何もしないように指示を受けていた。ところが所轄から現場に駆り出されていた冬樹は独自に行動をして、中国人犯罪グループに気づかれてしまう。

 誠哉が必死に事態の収拾を試みるが、撃たれてしまう。その直後、冬樹も撃たれてしまうのだった。

 冬樹は意識を取り戻すと辺りは誰もいない世界になっているのだった…


[感想]

 極限状態のサバイバルミステリーと感じる作品。

・一体何が起きたのか?

 冬樹はその後、誰もいないその世界で少しずつ人を見つけていく。やがて誠哉も見つけて!事態の打破を図る。他に生き残った人がいないのか、自分たちだけなぜ生き残っているのか。

 誰もいなくなった世界で世界は異常気象になり、度重なる地震、豪雨で行き場を失っていく中を生き延びていくという展開。

 その生き残っていこうとする様子は、どことなく映画『アイ・アム・レジェンド』を思い出させる。しかしその作品とこの異なり、なぜ人がいなくなってしまったのかの謎がずっとついて回る。

 最初に官邸で首相に説明をしている天文学者たち。その中でこれからP-13現象が起きる事は語られているため、読み手は何が起きたことを知っている。しかし作中の人物は当然、その事実を知らず、今その瞬間を生きていると言う流れ。

 その謎が明かされた時に軽い衝撃。そして、結末までの緊迫感。最後まで読み応え十分の一冊。


・誠哉の責任感

 誰もいなくなってしまった世界。そこで生き残るために誠哉はいろんな提案、指示を出していく。

 その世界には子連れの女性や高校生!会社役員とその部下や老夫婦、赤ちゃんといろんな人がいる。その中で誠哉が引っ張っていく。時には反論に遭いながらも、みんなが生き残るために常に最善を考えて行動している。誰もがその決断力に従っていく。

 もし誠哉のような人物が身近にいたならば、心強い。困った時に頼りになるだろうと感じる。一方であまりにも頼りになりすぎて、自分で考えることをやめてしまいそうと思ってしまうほど。みんなの意見を聞く姿勢を見せつつも、実はやや独裁者に近かったのかもと感じる存在だった。

 それでも誠哉の存在はかなりすごかった。


・崩れゆく東京

 舞台は東京。東京タワーから眺めた東京は至る所で火災が起きていて、変わり果てていたと言う冬樹の感想。その様子を想像すると、どうしても映画『アイ・アム・レジェンド』。

 その後、豪雨、地震でどんどん地形が陥没などで変形していく様子は、また別の世界を想像させた。これ!という世界を明確に表すことはできないものの、初めて体験する世界観ではなかった。どこかで経験したことのある世界観。

 そして総理官邸に避難する誠哉たち。他の建築物よりも頑強に建てられていると言うのが非常によくわかる描写で、実際の建物に行ってみたいと思った。


・一番印象に残ったのは…

 P-13現象が起こると13秒間の時間移動が起こる。それがこの物語の最大のポイント。そして、この結果、周りから人がいなくなってしまった世界。その先に待っていたものを知った時の衝撃はとにかく印象的。

 しかしこの物語のポイントは、実は一冊読み終わった後の世界なのではないかと感じている。冷静に考えると、この世界観はとんでもないことになっていて、もしかして「こう言うことかな?」と思う結末。

 これ以上の詳細はネタバレになってしまうのが非常に残念なところ。この本はネタバレなしで読むのが楽しめる部分だと思うため、ぜひ読破してみてください!


・自分ならその時…

 そんな独特の世界観。いろんなところで、自分だったらどうしただろうかと思う部分があった。誠哉の行動、決断はどれも参考になったし、衝動的に行動する冬樹を見ては、自分だったら違う行動を取っただろうかと想像を膨らませる。

 この誰もいなくなってしまい、残されたのがわずか十三人という世界で、みんなで意見を出していく。その様子には自分だったら、どうするかなと想像できる部分がたくさんあり、そう言った自分の考えをめぐらせる頻度が上がるたびに自分も、その世界に取り残されたように感じる不思議な感じが湧いてくる展開だった。


 結末まで読むと、その内容について語り合いたくなる作品だった。


 読了日:2022年1月26日


 皆様の感想も是非お聞かせください!


 それでは、また次回!



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