小説『ある閉ざされた雪の山荘で』演技か現実か?真相に驚愕!雪山ミステリーの傑作
- Dancing Shigeko
- 22 時間前
- 読了時間: 4分

こんにちは、Dancing Shigekoです!
東野圭吾作品に挑戦。
今回は小説『ある閉ざされた雪の山荘で』を紹介します!
[基本情報]
著者:東野圭吾
出版社:講談社文庫
出版年:1996年
ページ数:306ページ
[登場人物]
久我和幸
東郷陣平の劇に出演して演劇で成功させようと狙う青年。本作品で独白をしている。
雨宮京介
久我を除く六人と同じ劇団で、東郷陣平の劇のオーディションに合格した一人。リーダー的な男性。
笠原温子
聡明な勉強家タイプの劇団員。
中西貴子
独特のペースの女性劇団員。
本多雄一
無難に演技をこなすタイプの男性。
元村由梨江
容姿端麗なお嬢様。演技の方はあまり上手ではない。
田所義雄
元村に好意を寄せる劇団員。
[内容]
東郷陣平の次回作に出演するオーディションに合格した男女7人の役者たちが、長野乗鞍高原のペンシャンの集められる。そこは雪に閉ざされた山荘という設定で、彼らは演技をするよう指示を受ける。
詳細を知らされないまま宿泊生活が始まる。そして初日の夜を迎えるのだった。
[感想](※ネタバレ)
雪山に閉じ込められた前提でペンション生活を過ごす7人の若者を描く作品。
・演劇の世界に住む人たち
登場人物の7人はみんなオーディションに合格して、一流脚本家の東郷陣平の作品に出演予定。東郷先生の作品に出られることに喜び、楽しみにしている。その作品で結果を残したら、役者としての道が大きく開かれる、と考えている。
そう言った人たち。自分の演技はまだまだと謙遜する人、誰かの演技を見て、評価する人たちの集まり。そんな彼らに与えられた役割は、その山荘で指示通りの演技をすること。殺人事件が起きて、その時に本当だったらどんな行動を取るか、というのを想像しながら、議論しあって、演じようとしている。
しかし、この時に実際にその場にいる人たちだったらどうするだろうか、と議論している時点で演技にもなっていないような気がする。もっと、自然な演技を期待しているのではないか、と最初のお題が出された時に想像していただけに、奇妙な展開。
殺人事件が起きても、それが舞台設定なだけかも、という思いを都度覗かせながら、ストーリーが進んでいく。
これまでにないタイプの作品だった。
・犯人は誰か?
初日に一人殺され、6人になって二日目を迎える。みんなで犯人の手がかりを議論しあっても答えは出ず、夜を迎える。そこで久我は本多にアリバイづくりのために一緒に寝ることを提案。そして予想通りにその夜も殺人事件が発生。残るは5人。
5人残って、本多と久我が犯人ではないとなると、残る選択肢は3人に一人。しかしそのうちの一人は明らかに犯人になり得ない非力な女性。となると二人になるけれど、そこまでの展開から、二人目の犠牲者となった女性を殺すことはなさそうな男性が一人。
となると自動的に犯人は残り一人の男性になると踏んでいたのだけれど、どうも違いそう。
読み進めて行っても、アリバイがある本多かも?と思う時もあれば、独白が都度入る、久我が犯人かも、と思う時もあって、最後の最後まで謎いっぱい。
ヒント少ない中で犯人を見極めるのが難しい展開だった。
・東野作品には珍しい結末
結果的に3人の人物が殺害される本作品。最後に誰が犯人なのか、これは芝居だったのか、実際に発生した殺人事件なのか。その部分に注目。
すると意外にも・・・という展開で、東野圭吾作品のミステリーには珍しい結末。自分の知る限りでは、他にないタイプの展開。
こういう作品も書き上げるのだから、東野圭吾氏はすごい、と感じる作品。
芝居なのか、実際に起きているのか、読者にはその真相がわかる描写のされ方をしているにも関わらず、最後にひらりと騙される感じの展開にただただあっぱれと感じる作品だった。
読了日:2025年8月2日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
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