
こんにちは、Dancing Shigekoです!
今回は漫画『北里柴三郎 -近代日本医学の父-』を紹介します!
[基本情報]
監修:森孝之
まんが作画:名古屋裕
出版社:KADOKAWA
出版年:2022年
ページ数:159ページ
[登場人物]
北里柴三郎
予防医学に半生を捧げる。
マンフェルト
熊本医学校の教師。柴三郎に医学の道を進める。
ローベルト・コッホ
ドイツの細菌学者。柴三郎を研究所に迎え入れる。
[内容]
北里柴三郎は幼い頃、医学で助からなかった弟妹を目の当たりにして医者を信じていなかった。国のために頑張ろうと勉学に励み、軍人を目指していてが、勉学できる環境が熊本医学校で、そこで知り合った教師マンフェルトの影響で医学を目指すようになる。
持ち前の根性で勉学に励んだ柴三郎はやがて結果を残すようになっていく。世界では細菌の研究結果が認められるのだったが、旧友の緒方の研究結果を否定する形になったことが原因で、日本ではバッシング、蚊帳の外に追いやられるのだった。
[感想]
北里柴三郎の人生を描く一冊。
・世界は寛容
最先端の研究をするためにドイツへと留学する北里。ベーケルハーリングが発表した脚気菌に関する論文に疑問を抱き、異議を唱えると全面的に反論してくるのではなく、培養菌を送ってきて、同じように調べてほしいと言ってくる。さらにその研究の結果、脚気菌が出なかったことを報告すると、ベーケルハーリングからは感謝される。
この辺りのスタンス。純粋に医学の発展は人類の発展、国の発展につながると思っているのが分かる。すごく寛容な対応に驚き。
日本でも脚気菌に関して、北里の旧友緒方がベーケルハーリングと同じ説を唱えていて、それが世論として認められていた。その日本では北里の発表で緒方のメンツが丸潰れ、と考えて、北里の方を嫌うという。この対応の違いに悲しみ。
・出る杭は打たれる文化
日本では緒方の一件以来、北里が世界で論文を発表するたびに調子に乗っていると考える。そして留学期間を終えて帰ってきた北里を冷遇。留学期間を延長したことに対しても妬み僻み批判。さらに研究できないような環境に追いやって干す対応。
どうしてこうも日本というのは閉塞的なのか。まさに出る杭は打たれる文化。あまりにも勿体なさすぎる。もし日本がもっと寛容な国だったなら、もっともっと世界で通用する国になれたのではなかろうかと感じずにはいられない。
この風土は少しずつ変わってきているのだろうか。
・熱意なくして成果なし
世界に成果を残す人物というのは、とにかく人一倍努力する人だという印象が残る。野口英世にしても、北里柴三郎にしても、研究していて、そのままそこで寝泊まりすることがザラにあったみたい。
北里は、さらに自分の研究所で働く研究員たちにも同じ指導をする。必ず前に進めると考えて、寸暇を惜しんで研究しなさいと檄を飛ばしている。厳しいだけではなく、研究員の成果を連盟にすることは決してなく、全て研究員の成果にする寛容さもあったと。
熱意で研究をやり遂げていき、人一倍の努力、時間を割いて研究をする。その姿勢はなかなか真似できるものではない、と思う反面、その情熱は見習わないといけないと感じた。
もっと日本が広く物事を受け止める国だったなら、北里柴三郎はもっともっと世界的な成果を残したのではないかと悔やまれる作品だった。
読了日:2023年9月7日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
Comments