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執筆者の写真Dancing Shigeko

映画『ジョイ』 搾れるモップを作り上げた女性の苦難と成功の道

更新日:10月7日

 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 今回はジェニファー・ローレンス主演映画『ジョイ』を紹介します。


[基本情報]

 監督:デヴィッド・O・ラッセル

 脚本:デヴィッド・O・ラッセル

 配給:20世紀フォックス

 制作年:2015年

 上映時間:124分


[登場人物]

ジョイ:ジェニファー・ローレンス

 高校を首席で卒業する実力を持っていながら父親の会社の状況から、大学には進まず、経理として働く。恵まれない状況に嫌気をさしている。昔はいろんなものを作るのが好きだったが、いつからか殻に閉じこもってしまっていた。

 目力のあるジェニファー・ローレンスが負けん気の強い女性を演じると様になる。


ルディ:ロバート・デ・ニーロ

 ジョイの父親。二度離婚している。会社を細々と経営している。

 ジョイが特許で揉めた時に、支えるのではなく、自分が”ジョイはできる子だと勘違いさせたのが悪かった”と否定的なことしか言わない様子が印象的。そこは支える姿勢を見せて欲しかった。


トニー:エドガー・ラミレス

 ジョイと結婚する歌手。しかしジョイとの価値観の違いから離婚。その後は、よきパートナーとして生活を共にする。

 ライアン・ゴズリングのようでそうではない役者。頼りないけれど、最後は頼りになる存在だったのがよかった。


ニール:ブラッドリー・クーパー

 TVショッピングQVCを提供する会社の社長。トニーと元同僚でジョイを紹介される。

 ジョイの売り込みに、どう感じたのか感情が読み取りづらい表情だった。


[内容]

 貧しい生活を送っていたジョイ。父の新たな恋人のヨットで、床にこぼれたワインを掃除していて手を汚さずに絞れるモップのアイデアを思いつく。父を説得して、多額の借金をしながら、試作をする。しかし、なかなか買い手がつかずにいた。

トニーの紹介でTVショッピングの会社を経営するニールと会う。彼にモップの説明をして、5万本受注する。

ところが宣伝当日、カリスマキャスターは使い方が分からず、途中で紹介をやめてしまう。一本も売れずに宣伝は失敗に見えた。ジョイは納得せず、ニールに直談判に行く。自分が宣伝すると言ってテレビに出演させてもらう。最初、言葉が見つからずに黙り込んでしまったが、電話がかかってきて、そのお客と話をしているうちにペースを掴み、一気にモップが売れていくのだった。

ビジネスが成功したように見えたが、部品メーカーが値上げを持ちかけてきて、さらに特許でトラブルに巻き込まれる。逆境に陥りながらも諦めなかったジョイは、その状況を打破して、成功を収めるのだった。

[感想]

 発明家ジョイの成功までの史実を描く作品。

・夢を忘れさせる生活

 テレビドラマばかり見ている義理の母親。離婚してフラフラしている父親。経営が厳しい会社の切り盛りをする姉。地下室に居候して自由に暮らす元夫。二人の子供たちの世話。そんな環境に日々、その瞬間のことをこなすのでていっぱいのジョイ。友人のジャッキーとなぜこんなことになっているのか、とぼやくジョイ。

 そんな彼女の中に秘めた発明の力。体調を崩して眠りに落ちてしまった時に幼い頃の自分とあって、発明意欲が戻ってくる。ヨットでワイングラスが割れ、手を怪我しながら床掃除した経験から触れずに搾れるモップのアイデアを思いつく。そして一度思いついたらすぐさま行動に移していく。それまで忘れていたものを思い出すきっかけは夢だったという流れ。

 決して楽ではない状況でも、可能性を信じて行動に移せたところが運命の分かれ道だったのだろうと思う。そして彼女を唯一信じていた母 ミミの存在が大きい。

・非協力的な家庭環境

 しかし他の家族は非協力的。姉も父も父の恋人も、みんな借金までしてモップを作りたいというジョイに否定的。さらにジョイのモップがテレビで宣伝されることになってみんなで鑑賞していた時のこと。キャスターが使い方を失敗して、紹介が中断されてしまうハプニング。その時も真っ先にジョイを否定する空気が流れる。

 部品供給先の値上げ交渉に姉を勝手に行かせる父親。その結果、ジョイが不利になることを引き起こしているのに、そこには反省もせず、逆にジョイがトラブルを起こして、また借金が増えると非難。そんな様子を見ていると、ジョイの恵まれない環境を応援せずにはいられない。

 父親が、こんな娘になってしまったのは、ありもしない実力を褒めてしまったからという様子には、納得いかないものがあった。失敗したら、保身のために子供を否定する。そんなふうに見えてしまった。よくこんな家庭環境でジョイは腐らずに頑張れたと思う。


・自分の道は間違っていないと信じる心

 一度は自己破産を承知して、自分は無能と言い、どん底にまで落ちていくジョイだったが、そこからの持ち返し方がすごい。諦めることなく、何かできるはずだと資料を改めて読み返して、ついに突破口を見つける。

 自らテキサスに乗り込んでいき、自分が調べ上げた事実を相手に突きつけて、自分のお金の回収に成功して、終わっていく映画。その諦めなかった様子が成功の秘訣だったのだと思う。諦めず、何かあるに違いないと思えたから、資料を再度調べ上げていくこともできたのだろうと思う。では、なぜ諦めずに頑張れたのか。それは、やはり自分のやっていることは間違っていないという信念、自信があったからなのだろうと思う。

 自分のやっていることに自信を持てること、これって意外と難しい。誰かから否定されると心が揺らいでしまうだろうところを信じられる。そこが彼女の凄さ強みだったのだと思う展開だった。


 夢を忘れなければ、そして自分のやっていることを信じることが大切だというメッセージを得られる映画だった。


鑑賞日:2021年7月17日

 皆様の感想もぜひお聞かせください!


 それでは、また次回!


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