こんにちは、Dancing Shigekoです!
インド映画も悪くない!
今回は映画『RRR』を紹介します!
[基本情報]
原題:RRR
監督:S・S・ラージャマウリ
原案:V・ビジャエーンドラ・プラサード
脚本:S・S・ラージャマウリ
撮影:K・K・センティル・クマール
美術:サブ・シリル
衣装:ラーマ・ラージャマウリ
編集:A・スリーカル・プラサード
音楽:M・M・キーラバーニ
上映時間:179分
[登場人物]
ビーム:N・T・ラーマ・ラオ・Jr
村の少女が拐われ、連れ返しにデリーに向かう。
やや太めの体格。この体型で狼から逃げていくのだから面白い。
ラーマ:ラーム・チャラン
大義のために英国の警察に入り、成果を上げるために励む。
いかにもインド人。キリッとした顔がカッコいい。
シータ:アーリヤー・バット
ラーマの婚約者。村で帰りを待っている。
優しい視線が印象的。
ジェニー:オリヴィア・モリス
スコット邸で生活する女性。
目力がある。
[内容]
イギリス人に連れ去られた少女を救うためにビームはデリーで機会をうかがっていた。
スコット邸の少女を狙っていると聞き、その男を捕らえたら、昇進させると言うか。それでラーマはビームを捕まえるために捜査を始めるのだった…
[感想]
少女の救出とインド人を解放を目指す男を描く作品。
<刻一刻と変化する関係>
・偶然から知り合う
ラーマが英国軍を狙っていると思われる男を見つけ、追いかけていく。しかし橋の上で見失ってしまう。
男はビームと合流して警察に狙われたと伝えている。ビームは警戒しながらも、魚を釣ってきてくれると言う少年に魚をお願いする。
そして少年が川にどんぶりのような船を浮かべて、釣りに出る。直後、橋を渡ろうとしていた貨物列車が爆発を起こして、少年の周りが火の海になる。
それを見ていたラーマとビームが少年を助けようとする。ラーマは橋の上から川辺にいるビームに気づき合図を送って、少年を力を合わせて助け出す。手振りの合図だけでラーマの言いたいことを汲み取って、それ通りに行動するビーム。
この時からこの二人は何か通じるものを持っている感じ。この出会いをきっかけに二人は親しくなっていく。その意気投合っぷりがいい。
・対立する立場へと
ところがビームはラーマが追っていた男だと分かる。直前までラーマの毒を何とかしようと尽力してくれていたのに、ラーマはビームを捕まえようとする。
屋敷の敷地内に侵入していたラーマをギリギリのところで追い詰め、拘束。
さらに処刑の時に鞭を打つ係になる。それまで親友と信じていた相手を痛めつける。この場面は視覚的にも精神的にも痛々しくて、ラーマの心境が特に苦しかった。
・救出する立場へ
そしてラーマは自分の大義のためと思って、ビームを英国軍に差し出した。しかしそれが本当に正しかったのか、迷った挙句、間違っていたと気づく。
覚悟を決めて、ビームの処刑の日に脱出させる。少女と合わせて、二人とも逃げていけるように仕向ける。その結果、ラーマが捕まり処刑される側になってしまう。
ビームは村に逃げ切ろうと考えていたけれど、途中で窮地を救われた時の出会いがきっかけでラーマを救いにいくと言う流れ。
結果的にラーマとビームの関係は元の通り友情が大切にされたと言う展開にホッとした。
<鍵を握る女性たち>
・外に出たがるジェニー
ビームが屋敷の中に入ろうと画策している時に、屋敷から出てくる女性がいる。一人で車に乗って出かけていく。その女性ジェニーに見惚れるビーム。
人が良さそうと感じて彼女に近づきたいのに、英語しか話さないジェニーとうまく話しかけるきっかけが見つけられない。その状況をラーマが気を遣って打破してくれる。
ジェニーと話せる場を作り出して二人っきりで市場に行けるように仕向ける。
ヒンズーしか話さないビーム。ラーマがジェニーに何を言ったか、分かる術もなく言われるがままに行動して、ジェニーと二人っきり。
言葉が通じない相手と二人っきりで行動する事がどれだけ大変か。それでもジェニーはこれっぽっちも気にすることなくいつも通りに過ごして、さらにビームをパーティに誘う。
ビームがジェニーの名前すら理解できなかった時の場面はなかなか笑えた。
またパーティに行って英国紳士はビームのことを煙たがりダンスを見せびらかすが、ビームはナートゥを披露。これぞ、インド映画と言わんばかりに激しいダンスを見せる。あの体格でよくあそこまで俊敏に動く。
その様子を見て、受け入れるのはジェニーら女性陣。
この時代、男性は植民地意識が強く、女性は誰にでも平等に接していたのを感じる。
・ラーマの帰りを待つシータ
ラーマには婚約者がいる。村に残されたシータはラーマから連絡が来ると信じて、待ち続けている。そしてついに届いた手紙では武器が間も無く届けられると記載されていて安堵。同時にラーマの葛藤を知ってデリーに出てくる。
南から出てきたと言う彼女は、ビームが英国軍に追われてると知って、天然痘の患者がいるから医者に連れて行きたいと言う嘘で英国軍を追い払う。この機転の効かせ方に感動。どうやってビームが捜索から逃れるのか、と思っていたら、近づけさせないという手段を、実に自然に持ち出すあたりにシータの凄さを感じた。
・血を見たがるキャサリン
一方で考えを理解できない存在もいる。それはスコット邸にいるキャサリン公爵夫人(?)。最初の少女が上手に絵を描いたと思ったら、2枚硬貨を渡して、そのまま連れ去っていく。そのことをなんとも思っていない。
その少女を取り返そうとしている人がいると聞いたら、捕まえてきたら、特別捜査官に昇進させると言う。彼女が一番権限を持っているのか?と思ってしまうほどの独断。
そして一番恐怖を感じたのが、ビームの鞭打ちの公開処罰の時。私はもっと血がドバッと飛び散るのを見たいのよー、と言って、普通の鞭から鉄杭が出た鞭に替えさせる。しかもその鞭を自ら用意している。
一体、どういう神経をしているのか。
この時代の英国民にとっては、インド人はどう言う扱いだったのか。人と思っていない扱いが見える。恐ろしい時代があったのだと感じる。
<インドを舞台に>
・デリー郊外の村と英国軍駐屯地
インドのデリー郊外に英国軍の駐屯地らしき場所がある。そこに市民たちが詰め寄っている。英国のやり方に納得のいかない市民たちが暴動を起こしそうになっている。その人数の多さ。密着加減、人口の多さがインドらしい。
一方、森の中で住む村人たち。このギャップに驚き。まだインドでは森の中で、住んでいる民族がいるという事実が驚き。1920年だからか?
・デリーの市場
ジェニーがデリーの市場に向かう。テントを張った露店。道路は舗装されてなく、店舗の並び方も一直線というわけではない。雑多な感じで並んでいる。こういった市場は、いろんな国で見かける印象。ただどちらかと言うとアフリカの市場のようにも見えてしまう。
その市場に車が乗り込んでいく様子が妙に違和感。車もなさそうに見えてしまう市場だっただけに、文化が入り乱れている感じにも見えた。
・英国軍の屋敷
門が二重になっている屋敷。門を通り過ぎると屋敷までも、1キロくらいありそうな広さ。そして広大な庭。現地の人たちが住むところは埃まみれという感じなのに、その英国邸は、贅沢の極みと思われるような造り。
建物自体もかなり大きく、レンガ色のホワイトハウスみたい。そんなものを建てられたら現地の人たちは不満を抱くの仕方ない、と感じてしまう。
身分の差って、こんなにも生活様式に差をつけさせてしまうものなのだろうか。もっと平等があったら良いのに、と思ってしまう贅沢さだった。
ラーマとビームの友情が印象的な作品だった。
鑑賞日:2022年10月22日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
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