こんにちは、Dancing Shigekoです!
実に奥が深い。
今回は映画『12モンキーズ』を紹介します!
[基本情報]
原題:Twelve Monkeys
監督:テリー・ギリアム
脚本:デヴィッド・ピープルズ
ジャネット・ピープルズ
製作:チャールズ・ローヴェン
製作総指揮:ロバート・コスバーグ
ロバート・カヴァロ
ゲイリー・レヴィンソン
音楽:ポール・バックマスター
撮影:ロジャー・プラット
編集:ミック・オーズリー
配給:ユニバーサル
上映時間:130分
[登場人物]
ジェームズ・コール:ブルース・ウィリス
囚人。ボランティアに選定される。
車の窓を開けて、頭を外に出して空気を美味しそうに吸う姿が印象的。
キャサリン・ライリー博士:マデリーン・ストウ
精神科医。ジェームズの相手をする。
真面目の塊という感じ。
ジェフリー・ゴインズ:ブラッド・ピット
精神病棟の患者。入院してきたジェームズの相手になる。
狂っている感が半端ない。
[内容]
1996年に人類の99%が死滅するウィルスがばら撒かれた。その実態を調べることで、ウィルスにどう対応するかを考えようと考えた人たちが、囚人を過去に送り込むことにした。
その対象に選ばれたのはジェームズ・コール。ウィルスをばら撒いたと思われる団体”12モンキーズ”について調べるために1996年に送り込まれるはずが、1990年に送り込まれる。彼を拘束した警察は、キャサリンに尋問の依頼をする。精神異常と判定し、精神病院に放り込む。ジェームズはそこで知り合ったジェフリーはジェームズの話を聞いて興味を示していた。
ジェフリーの助けがあってなんとか精神病棟から逃げ出そうとしたものの捕まって拘束されてしまう。キャサリンが再び話を聞こうとするが、姿を消してしまうのだった。
再びジェームズが姿を見せたのは1996年11月。ウィルスがばら撒かれる1ヶ月前。ジェームズはキャサリンに接触し、今度こそ12モンキーズの情報を仕入れるために助けを乞うが、キャサリンはあなたは精神的に参っていて幻覚を見ているのだと言われ続ける。やがてジェームズもその言葉を信じるようになるのだったが。。
[感想]
時間軸が複雑に入り組んで、ストーリーが展開していく作品。
<誰が見ている世界が現実か>
・未来の状況を打破するために
タイムトラベル系のこの作品。大前提は過去は変えられないというスタンスで話が進んでいく。ジェームズは、過去のウィルスがばら撒かれた時の情報を仕入れて、その内容をもとに未来でウィルスを駆除しようという考え方で調査が行われていくという発想。
そのため、ジェームズが経験したことが、まだ起きていない。ここに興味深いのは幼い頃からのジェームズの記憶が断片的に登場すること。この記憶をジェームズは記憶とは考えておらず、夢と認識していたのが、この作品を難しくさせていた部分のように思う。
もしジェームズがそれは、自分が過去に見た出来事だとわかっていたなら、それがいつ起きたことだったと分かっていたなら(それが夢ではなく実際に起きたことでいつ起きたことかは、最終的に分かるのだけれど)、もっと対応は変わっていただろうし、もしかしたらジェームズの知っている過去とは違った過去が存在していたのかもしれない、そんな風に考えさせられる内容だった。
・徐々に信じられなくなっていく
ジェームズが自分の幼い頃の記憶を、記憶と認識していない曖昧さを持っている性格ゆえに、後半、そもそも自分が未来から1996年に来た、という事実に対して疑問を感じ始める。自分が未来と思っていた出来事は、自分が都合よく作り上げた人物であって、実際には存在しないのだ、と言ってしまえば、本当にそうなのかもしれない、と思えてくる。
ジェームズが言う、未来の出来事はまだ起きていないから、誰も信じることができない。みんなに共通して分かる出来事を当てないことには、信じてもらえないという難しさを感じた。
逆に未来から1996年に送り込んできた科学者たちが、ジェームズに予備知識を与えていたなら、どうなっていたか。もっと信じてもらえたのではなかろうか。
段取りの悪さが情報を見つけることを手こずらせてのではなかろうか、そんな風に感じてしまう。
・徐々に信じていく
ジェームズが話した何気ない一言がきっかけでキャサリンはジェームズの言っていることが本当なのだと信じるようになる。それは井戸に落ちた少年救出のニュース。ジェームズはそれは狂言で実は、男の子は納屋に隠れているんだと言う。そしてその事実がニュースで流れると、キャサリンは、もしかしてジェームズは本当に未来から来たのかもしれない、と感じ始める。
さらには第一次世界大戦の写真にジェームズが写っているのを見て確信していく。自分が未来から来たというのを証明しようとしたら、これから起きる未来の出来事を言い当てることが一番の近道なのだと感じる。
せっかくキャサリンが味方についてくれたのに、その頃にはジェームズが自分の見ていたものは幻影だったのだと考え始めているのだから、この二人、報われない、と感じてしまう。
<謎残る人物像>
・何年から来たのか明かされない
この作品で”もし~ならば、~だっただろう”を挙げるならば、ジェームズが何年から来たということを明かすなり、誕生日がいつだということを示したりしていたのであれば、少しは周りを説得しやすかったのではないか、と思ってしまう。なぜ、そういった情報を出さなかったのか。
基本姿勢は、タイムトラベルで記憶が混乱しているという部分があったからだろうか。誕生日が分かれば、1996年の自分の情報を引っ張り出してきて、少しは先に進めただろうにと思ってしまう。
あのような悲しい結末にならずに済んだのではなかろうか、と感じる。
・キャサリンの既視感はどこから
さらに謎なのは、キャサリンがジェームズに初めて会った時に、どこかで会ったことがあるように思うという部分。結局、キャサリンはいつジェームズに会ったというのだろうか。子供の頃のジェームズを見た、というのであれば、時系列としてはジェームズと知り合った後の出来事だし、それよりも前に会うというのは難しそう。
この部分は謎のまま終わっていったのが、気になる。その辺りをネタに続編が作れるのではないか、とさえ感じてしまう。
<アメリカ北西部で>
・ボルティモアからフィラデルフィアへ
ボルティモアには情報がない。だからフィラデルフィアに迎えとキャサリンを脅迫して運転させる。160kmも離れているという。アメリカの地理は詳しくないけれど、160kmを車で移動となると、3時間くらいでいくのだろうか。
調べてみると北東に160km。100マイル。その道のりをずっとジェームズは外の空気を味わいながら移動していたのだろうか。
・同じデパートで記憶が重なる
フィラデルフィアに到着して、キャサリンはジェームズが一度姿を消してしまった後、また見つかるのを待っている。さらにその間にジェームズの言っていたことが本当だと分かり、ジェームズが再び現れた時、警察に見つかるとまずいから変装しようと、デパートに連れていく。そのデパートではガーゴイルのような石像を展示しようとしている。その石像は、実はジェームズが未来で地上調査をしていた時に見かけたものと同じもの。
気がつけば未来で立っていた場所に、過去で立っているという構図。同じ建物が何十年かの月日が流れて、廃れている様子と重ねることで、ウィルスの悲惨さを改めて感じさせたかったのだろうか、と監督の思いを想像させる映像だった。
実に複雑で何度でも楽しめ、さらにいろんな人と語り合える内容と思える作品だった。
鑑賞日:2022年10月30日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
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