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執筆者の写真Dancing Shigeko

映画『私の中のあなた』家族はいつも同じ思い


 こんにちは、Dancing Shigekoです!

 今回はキャメロン・ディアス出演映画『私の中のあなた』を紹介します!


[基本情報]

 原題:My Sister’s Keeper

 監督:ニック・カサヴェテス

 脚本:ジェレミー・レヴェン / ニック・カサヴェテス

 原作:ジョディ・ピコー 『わたしのなかのあなた』

 製作:マーク・ジョンソン / チャック・パチェコ / スコット・L・ゴールドマン

 製作会社:ニュー・ライン・シネマ

 配給:ワーナー・ブラザース

 製作年:2009年

 上映時間:109分


[登場人物]

サラ・フィッツジェラルド:キャメロン・ディアス

 ケイトの母親。看病をするようになってから弁護士を辞め、看病に注力する。ケイトを第一に考えて行動している。

アナ・フィッツジェラルド:アビゲイル・ブレスリン

 ケイトの妹。体外受精でケイトのドナーになれることが確認されてから生まれて来た子。そのため、何度も移植施術を受ける。11歳。

キャンベル・アレクサンダー:アレック・ボールドウィン

 勝率91%の敏腕弁護士。アナが親を訴えたいという話を親身に聞き入れ、裁判で一緒に戦う。てんかんを患っている。

ブライアン・フィッツジェラルド:ジェイソン・パトリック

 ケイトの父親。消防士として働いている。サラが必死にケイトを助けようとする努力に理解を示しつつ、ケイトの思いも尊重したいという思いが滲み出ている。

ケイト・フィッツジェラルド:ソフィア・ヴァージリーヴァ

 白血病を患う15歳。同じ白血病患者のテイラーと親しくなり、闘病生活に楽しみを見つける。

ジェシー・フィッツジェラルド:エヴァン・エリンソン

 ケイトの弟。失語症だったがケイトの治療が優先され、特別施設へ一年送り込まれる過去を持つ。いつもケイトのことで思い悩んでいる。

デ・サルヴォ判事:ジョーン・キューザック

 アナが起こした訴訟を担当する判事。息子を事故で亡くす過去をもつ。年齢を問わず、きっちりと話を聞く姿勢を見せる。


ケリー:ヘザー・ウォールクィスト

 ケイトのおばさんで、サラの妹。サラとともにケイトの看病に顔を出す。一方で、サラへ現実を受け止めるように助言もする。


[内容]

 白血病の姉ケイトを持つアナ。彼女は姉のドナーとなるべく生まれてきて、これまでに何度となく移植手術を受けてきた。しかし、肝不全を起こしている姉のために肝臓移植を進めようとしている両親を相手に訴訟を起こす。敏腕の弁護士 キャンベル・アレクサンダーに相談して訴訟の準備をする。

 法廷で母サラは真っ向から対決する姿勢を見せる。アナは訴訟を起こした理由を聞かれるが黙秘していると傍聴席にいた兄ジェシーが、ケイトは死にたがっていると言うのだった。

[感想]

 白血病の娘を救おうとする母と、姉の思いを尊重しようとする妹との思いを、それまでの家族の思い出を描きながら、表現していく作品。

・いかにその時を迎えるかを問う

 白血病が進行していき、治らない可能性が非常に高くなった時、家族としてどう向き合うのが良いのかを考えさせられる。母親はとにかく救いたい、その思いを全面に出して闘病生活を送る。

 父親は妻の努力に理解を示しつつも、娘の意思を尊重したい立場。入院中のケイトがビーチを見たいと言った時に、医者にきっちりと相談してリスクが低いことが確認取れたら、即実行に移す。娘の思いを優先して、発狂しながら連れていくことに反対する妻を押し切る。そこに強い思いが見える。覚悟ができていたのだろうと分かる。だからこそビーチに行ったのだと。母と異なり、現実を受け入れる準備ができていると感じる。

 そして弟のジェシーと妹のアナ。ケイトが助からないと本人が一番分かっていることを受け入れて彼女のために協力する。移植したくないというのはあくまでも、口実であって本当は姉の思いを尊重したいと言う流れ。

 闘病生活に疲れていたのかもしれない。しかし、家族での時間を十分に味わったからというケイトの思いが見て取れる。

 家族としてどう向き合うのがいいのか。実際にその時にならないと分からない。ただいつ何時、白血病に限らず、家族の誰かが命を落とすことがあってもおかしくない。死が近づいているから、その分、今を大切にできるのかもしれない。しかし、そうでなくても家族の絆は大切にしたいと強く感じさせる内容だった。


・母の思いは人一倍

 サラの妹ケリーも含め、皆がケイトの死に対して一定の覚悟を持っている。そんな中でサラだけは頭では分かっていても、心では受け入れることが出来ずにいる。その結果、最後までできることをしようと、向き合い続ける。そんな強烈な思いが滲み出ていた。裁判にかけられても、ケイトが回復する可能性があるなら何でもする。その思いは、きっと母親だから人一倍強いのだろうと思う。

 しかしどんなに感情的になっても最後はケイトのためなら許容することもできる。とにかくケイトのことを第一に考えている。そんな強い思いに触れて、ジェニーやアナはどう思うのか。子供たちもそんな母親の思いを理解している。みんなが支え合っている感じが伝わってくる。

 母親の思いが分かるから、アナもケイトの鼻血や排泄物の対応を親身にできていたのだと思う。こうやって、がむしゃらに頑張る母の姿を見ていると、母の子に対する愛情は、他の何よりも勝るのだろうなと思う。

 ケイトは最後に母に感謝の気持ちをたくさん伝えて、それを受け取ったサラが涙する場面。それまでに目を逸らしてきた現実を受け入れた瞬間に思えた。助けたいという気持ちと、これが娘の望む道なのだと受け入れる気持ちが混じっていて、見ている方も自然と涙こみ上げてきた。


・そして家族はモンタナに集結する

 看病はカリフォルニアのとある都市。それがどこなのかは特定できなかったけれど、裁判の話が出て来た時にアナは11歳で、カリフォルニア州法で定める親の保護対象から外れる14歳に満たないから判断できない、といった話があったので、カリフォルニアなのは間違いなし。

 映画としては、病室を中心とした病院と自宅の部屋が多く、それがケイトの思いとも繋がっているように感じた。たまには外を見たい、という思いはこうした普段屋内中心の生活からきた発言なのだろうと思う。病院から1日退院して行ったビーチ。風が強く、波が大きい感じの浜辺でブランケットにくるまってゆっくりする。そして夕日を顔全体に浴びる姿は、生きていることを全身で感じているのだと印象付ける場面だった。

 そんなケイトのお気に入りの場所はモンタナ。家族で幼い頃に旅行したらしいモンタナにまた行きたいという。そう聞いたアナが「モンタナには何もないのに、どうして?」と聞き返していたのも印象的。どうやらアメリカでモンタナ州の位置付けは、何もない場所なのだろうと感じさせる。こうしたアメリカ人にとって、各州、各都市に対するイメージが分かる場面というのは、新たな発見になって面白い。


 ケイトの結末が見えている中で、彼女を取り巻く家族の努力、覚悟が揺らぎながらも、家族の絆が再び強くなっていくのを感じる作品だった。


鑑賞日:2021年9月15日

 皆様の感想も是非お聞かせください!


 それでは、また次回!


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