映画『沈黙の官能』これぞ、魔性の女!
- Dancing Shigeko
- 2023年5月13日
- 読了時間: 5分
更新日:2024年7月13日
こんにちは、Dancing Shigekoです!
たまにはこの手の作品も。
今回は映画『沈黙の官能』を紹介します!
[基本情報]
原題:The Inheritance L’eredita Ferramonti
監督:マウロ・ボロニーニ
脚本:ウーゴ・ピロ
セルジオ・バッツィーニ
原作:ガエターノ・カルロ・チェッリ
製作:ジャンニ・ヘクト・ルカリ
撮影:エンニオ・グァルニエリ
音楽:エンニオ・モリコーネ
配給:アルバトロス・フィルム
上映時間:118分
[登場人物]
イレーネ・カレリ:ドミニク・サンダ
ピッポと結婚する。お店の娘。
おしとやかに見えて、大胆。恐ろしい。
グレゴリオ・フェルラモンティ:アンソニー・クイン
パン屋を辞めて、子供たちを勘当して悠々自適に過ごしている。
なぜ子供たちを突き放したのか、その背景が気になった。
ピッポ:ルイジ・プロイエッティ
グレゴリオの息子、次男。イレーネと結婚。お金稼ぎに執着している。
頼りなさそうな感じ。海外ドラマ『シカゴ・ファイア』に出てくるオーチスのような見た目。
マリオ:ファビオ・テスティ
グレゴリオの息子、長男。女ったらし。
まさかの行動。
テータ:アドリアーナ・アスティ
グレゴリオの娘。パビオと結婚している。
小柄で陰湿な感じがする。
[内容]
1880年ローマ。グレゴリオはパン屋を閉め、子供たちを追い出していた。手切金を渡して二度と戻ってくるなと言い渡す。
次男のピッポは金物屋で働くようになり、そこの娘イレーネと結婚した。イレーネはピッポに、家族と仲直りをしてもらいたいと思って、テータやマリオと接触していくのだったが・・・
[感想]
魔性の女という表現がよく似合う作品。
<家族の不協和音をなんとか>
・お金が全ての元凶
ストーリーはパン屋の一部屋で始まる。そこで働いているであろう職人たちが険しい表情の男性グレゴリオに追い出される。その後に残される三人の若者。どうやらグレゴリオの子供らしい。長男マリオにはお金を盗んだと難癖をつけて、手切金を渡して追い出す。次男ピッポは正直者だと言ってお金を渡して追い出す。娘にはお金はやらんと言って追い出す。
そんな始まり。どうやらお金にガツガツしているらしい気配がある。
実際にピッポは大きく稼ぎたいという感じでお店でイレーネと話をしている。この時代の物価がどのくらいか分からないけれど、グレゴリオは240万リラほどを持っていたみたいで、みんなゴレゴリオが亡くなれば、その遺産を自分のものにしたいと考えている感じ。
お金を持っているから、それを狙っていると思うようになるグレゴリオ。子供たちも狙っている感じがあると言うことなのだろうと思う。
家族の関係がギスギスするほどの富というのは、果たして幸せなことなのか。もっと家族がみんな幸せになる道はなかったのだろうか?って思ってしまう。
どの時代も、どの国もお金に対する感覚というのは一緒なのかな、と寂しい気持ちになる世界観だった。
<三人のとりこ>
・イレーネと結婚したピッポ
しかし実は1番ガツガツしていたのはイレーネ。家族の不協和音をなんとかしようとしているように見せて、実はグレゴリオの財産を独り占めしようと考えている。
ピッポと結婚して、常に家族と仲直りするべきだと言い続けている。結婚式にもマリオ、テータ、そして父親を招く。グレゴリオは来なかったもののマリオまではそこに来る。
冴えない感じのピッポと普通の結婚生活を送っているように見せて、何か含みがありそうな気配。
・女好きのマリオ
そしてマリオを見かけた時に色目を使う。女好きのマリオはまんまとイレーネの虜になっていく。イレーネがマリオにも仲直りを勧めていく。その中で、二人は関係を持つ。それまでもがイレーネの計算という感じ。
マリオはどんどんイレーネの虜になっていってしまう。不倫を悪いことと思っていても止められない。イレーネが実はグレゴリオの財産を狙っていたとわかっても憎みきれずにいる。
そこまでゾッコンになってしまう相手。裏切られたと分かっても、憎みきれず、マリオがとった行動がまさかの行動で驚きの結末。
女によって人生を台無しにされた典型のような男だった。
・独り身が堪えるグレゴリオ
財産を狙われていると疑いながらもグレゴリオも徐々にイレーネの虜になっていく。最初は再婚を提案しに来ただけに見えて、次は子供たちと仲直りを望んでいるように見せて、徐々にイレーネに惑わされていく。
そしてイレーネと関係を持った翌朝に息を引き取っているという展開。満足して人生を終わっていった、という感じなのだろうか。
何にしても三人の男性はことごとくイレーネに思うように操られた、と言った感じ。
<1880年のローマ>
・石造りの街並み
舞台はローマ。1880年ということで街中を馬車が走っている。ローマに住む人たちには、北部(ミラノとかだと思われる)からの物品を快く思っていないことが描写されていたのは印象的。
道路も建物もどれも石造りの街。ヨーロッパの都市というのは、こう言った造りが多い印象。その造りが昔ながら、古代から続いている印象を与えてくれる。
全く高層ビルという感じがない街並み。1880年だからか、イタリアだからなのか。今のローマはどうなっているのだろう、そんなことを感じる。
全編イタリア語で、ローマにも行ってみたいという気持ちを刺激する作品だった。
鑑賞日:2023年5月13日
皆様の感想もぜひお聞かせください!
それでは、また次回!
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