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執筆者の写真Dancing Shigeko

映画『モービウス』悪に落ちるのを堪えるモービウス

更新日:8月2日



 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 今回は映画『モービウス』を紹介します!


[基本情報]

 原題:Morbius

 監督:ダニエル・エスピノーサ

 脚本:マット・サザマ

    バーク・シャープレス

    アート・マーカム

    マット・ホロウェイ

 原作:ルイ・トーマス / ギル・ケイン『モービウス・ザ・リヴィング・ヴァンパイア』

 製作会社:コロンビア・ピクチャーズ

      マーベル・エンターテイメント

      アラッド・プロダクションズ

      マット・トルマック・プロダクションズ

 配給:ソニー・ピクチャーズ リリーシング

 上映時間:108分


[登場人物]

マイケル・モービウス:ジャレッド・レト

 血液系疾患で入院生活を続けている。ニコラズに才能を見込まれてニューヨークで研究を励むようになりノーベル賞を受賞する医師。

マイロ:マット・スミス

 モービウスと同じ血液系疾患で入院してきた。本当の名前はルシアン。モービウスが勝手にマイロと呼ぶようになる。輸血機が故障して死に直面していたところをモービウスに助けられ、以来、二人は友人。

マルティーヌ・バンクロフト:アドリア・アルホナ

 モービウスと共に血清の研究をする医師。モービウスの違法スレスレの研究にも親身になって協力する。

エミール・ニコラズ:ジャレッド・ハリス

 モービウスの才能を見抜き、残されたマイロの面倒を見続けてきた医師。

サイモン・ストラウド:タイリース・ギブソン

 FBI捜査官。ロングアイランド沖で発生した惨殺事件の容疑者としてモービウスを追う。

アルベルト・ロドリゲス:アル・マドリガル

 FBI捜査官。ストラウドと共に事件の捜査を進める。

 ヒゲモジャ眼鏡の組み合わせがFBIっぽくなかった。


[内容]

 マイケル・モービウスは血液系難病を患っていた。同じ病院に入院してきたマイロと親しくなったが、モービウスはニコラズに才能を認められて、ニューヨークに移り、血清の研究をするようになった。

 それから15年、人工血液を作り出し、ノーベル賞を受賞するまでになっていたモービウスは自分の患っている血気疾患の血清研究を続けていた。コウモリの血液を使った違法スレスレの血清を作り上げて、人体実験の段階に移る。自らが被験者となって、血清を接種する。

 その血清で体に異変が起きるのだったが…


[感想]

 新たなマーベル作品の始まり。SSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)第三弾。

・悪人にならないように必死に留まる

 マイケル・モービウス、コウモリの血から作った血清を接種して一時的に目まぐるしく体力が回復する。それまで松葉杖を使ってやっと歩いていたのが、普通に歩けるようになる。

 筋肉も発達して、それまで今にも倒れてしまいそうな青白い肌だったのが、血がみなぎる体になっていく。そう言った変化を冷静に分析していくところが医師らしい。

 自分の状態を描写していく中で、非常に渇きを感じる。血を飲みたくなると分析している。一度、血を飲むとどのくらい長く体調が維持できるのかを研究し続ける。そして結論として、この血清は失敗だったとしている。理性を失って、いつしか血を食らう吸血鬼になるのを感じているのだと思わせる発言。

 本性では血を飲みたい、しかし理性がそれを止めているという構図が続く。その葛藤が伝わってきた。

 友人のマイロが血清の完成を知って自分にも使ってくれと懇願するが、危険すぎる、マイロを悪人にしたくないという理由で拒否するほど。マイロが友人だからこそ聞き入れることができないというのが非常に苦しい決断に見えた。


・そんなモービウスの思いを無視して

 マイロは迷わず血清を勝手に奪い取り、接種する。そしてその超人的な力を楽しむ。理由が自分は今まで足が不自由で苦労してきた。それを馬鹿にしてきた奴らに同じ苦しみをあじわせて何が悪いというロジック。

 子供の頃のマイロとモービウスの出会いを見ている限り、もっと理性のある人物に思えただけに意外な発想。しかし、そうなってしまったのも理解できる部分もある。

 子供の頃にモービウスからの手紙が風で外に飛んでいってしまい、それを拾った悪ガキどもにボコボコにされていた過去を考えたら復讐したくなるのも起こりうる展開なのかな、と思ってしまう。

 しかし、できることならもう少しモービウスの言葉を聞く心を持っていて欲しかった。それだけ友人との関係よりも死にゆく体に恐怖を感じていたということなのだろうと思う設定だった。

・コスタリカの山奥へ向かうモービウス

 最初にコウモリの巣を求めて、モービウスがコスタリカの山奥へと向かう場面がある。ジャングルの中をヘリが飛んでいく場面。その見せ方は、ジュラシック・パークに到着する時の場面に似たものを感じた。同じロケ地なのだろうか、と思ってしまうほどに似た印象受けた。実際のところはどこだったのか。すごい綺麗な緑のジャングルだった。

 そしてコウモリの住む洞窟に到着したモービウス。手をカットして血の匂いでコウモリを誘き出す。洞窟の奥から一斉に大量のコウモリが飛び出してくる。一瞬、バットマン?と思いたくなった。

・違法だと分かっていながら協力するマルティーヌ

 モービウスがノーベル賞の受賞を拒否したことを咎める同僚のマルティーヌ。コウモリを大量に隠していることを知ってモービウスに何をしているのかを問い詰める。モービウスは正直に、やや違法な臨床をしていることを認める。それを聞いていたマルティーヌの表情は明らかに困惑していて、それはダメだと否定的なものに見えた。

 それにもかかわらず、意外と協力的。実験をするために国際水域にでも行くつもり?と冗談で言っているのかと思ったら、実際に船に乗って国際水域に出て、一緒に実験を繰り返している。その強力的な姿勢が、どこまで本気なのか、掴みきれない感じだった。

・ガイコツのような表情になるもう一つの顔

 血清を接種した後、力を発揮する瞬間は顔がガイコツのようになるモービウス。マイロも同様にガイコツのようになる。この顔だけ見たら、悪人にしか思えない。マイロは実際、その顔を見せるときに人に恐怖を与えて楽しんでいる。しかし、モービうすは決して、悪いことに使おうとしない。対照的な二人の対応がとても印象的だった。

 印象的といえば、力を得たマイロが、街に出かけていくために着替えをしている場面。非常にご機嫌で音楽に合わせて、鏡の前でポーズをとりながら着替えていく。いかにもワル、と思わせる。そこまでご機嫌に、ワルな表情を浮かべて着替えができるものだと感心してしまった。


 モービウスがマイロの暴走を止めるという展開で終わっていく。いくつか疑問を残し、次への展開を期待させる作品だった。

 

 鑑賞日:2022年4月1日


 皆様の感想も是非お聞かせください!


 それでは、また次回!



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