
こんにちは、Dancing Shigekoです!
デジタル庁法案が成立しました。これで、だいぶ日本のITインフラが変わっていくのでしょうか。期待したいです。
さて、今回は東野圭吾作品 小説『秘密』を紹介します!
[基本情報]
著者: 東野圭吾
出版社: 文春文庫
出版年: 2001年
ページ数: 452ページ
[登場人物]
杉田平介
自動車部品メーカー勤め 39歳。
本作品の主人公。心の動きが細かく描かれていて、感情移入しやすかった。
杉田直子
平介の妻。実家に帰るバスが事故に遭い、命を落とす。しかし、魂が娘に宿る。
娘の体で人生をやり直す姿がうらやましく感じられた。
杉田藻奈美
平介の娘、小学5年生。母と実家に帰るバスが事故に植物状態になる。意識を戻したときには、母 直子の魂が宿っていた。
バスで事故に遭う、誰にでも突如やってくるかもしれない惨劇。事故は年齢問わず起きると言う非情な世界の犠牲者の一人。見た目は小学生の彼女が中身は母親、まるでコナンって感じてしまった。
[内容]
杉田平介の妻 直子は娘の藻奈美を連れて、従兄弟の告別式に参列するために長野の実家に向かっていた。ところが、不幸にも移動に利用していたバスが転落事故に遭う。
夜勤明けだった平介はニュースでバス事故のことを知り、急ぎ長野の病院に向かう。妻 直子は重体。しかし彼女は藻奈美の心配だけをして、息を引き取ってしまう。その藻奈美は意識が戻らないかもしれないと言われていた。平介は植物状態の藻奈美よ様子を見にいくと目を開けるのだった。それから数日後、藻奈美が言葉を発する。それは驚きの内容だった。藻奈美は自分が直子だと言うのだった。
数日後、藻奈美の姿をした直子は退院。そして平介と直子の不思議な生活が始まる。
[感想]
母親の魂が娘の体に乗り移り、平介がその事実と向き合いながら、月日が流れていく物語。
・ 平介の心境について考える
仕事で一人留守番をしていたときに、ニュース越しに妻と娘が乗っているバスが事故にあったことを知る展開から始まる。その時の心境を想像する。おそらくとてもなく大きな胸騒ぎと不安が支配している状態で長野に向かう。その道のりの遠さに、気が気ではなかったのではないかと思う。自分がその立場になってもきっと落ち着かなかったと思う。そして病院について、重体の2人に遭う。考えただけで絶望の淵に落とされるように感じる。
そんな衝撃の始まり。続いて待ち受けているのが、理解困難な入れ替わり事象。娘の体に妻の魂が乗り移った。そんな話をされて、どう信じたら良いのか。やり取りする中で、妻だと分かってからは、そのように接する。しかし世間的には親子の関係に見える2人という中をどうバランスよく生活していくのか。
前半では人との会話の中でも頻繁に間違っていたけれど、後半ではそういう間違いが減っていく。とはいえ、ずっともやっとしていたと思う。そして、高校生になった直子に嫉妬心を抱き始めて、ストーカー紛いのことをし始める様子は、ややサイコな感じ。高校生の妻が誰かと親しくしている、その姿を見ること、考えることがどんな感じなのか、想像し難い。
一方で遺族の会や、事故を起こしたバス運転手の家族に話を聞きにいくなど、心の整理をつけるために行動を起こすあたりは、そういうものなのかもしれないって感じる。
直子との関係が徐々に変化していく様子は、読んでいて心にずしっと応える重たさがあった。
・ 直子の心境について考える
続いて、娘の体に魂が乗り移った直子。
まず、本人はその事実を理解できるのか。考えただけでも混乱。
その状況を理解して受け入れた時、直子みたいにしっかり勉強したいって思う。そう思うだけに羨ましい境遇と思う部分もあった。何かと気を使う部分があるだけに、心労は大きいと予想はされるものの、体験してみたい世界観。
ただ直子同様、実際のところはどう言う位置付けで生活したらいいのかは、ずっと疑問がついて回るのが、辛い。平介が割り切ったら良かったことなのかもしれない。いっそのこと、橋本先生と親しくなっていたら展開は違っていたのかもと思う。
・ 二人に待ち受けていた結末
平介と直子、2人を中心に進んでいく物語。直子が宿っていると言うことが、作品のタイトルでいう"秘密"なのかと思わせておいて、実は違うと言うのがこの作品の注目ポイント。結末を知らずに読んでいると、途中からの展開に少しずつ苦しさを感じてくる。
しかも、最後は結婚という形で終わるのだから、平介の立場で読んでいると、嬉しさと寂しさと複雑な感情に飲み込まれる。そこに加え、もう一つの波が待っているのだから、すごい。
この結末は、是非話し合ってみたいと思う内容だった。
読了日: 2021年5月11日
皆様の感想も是非お聞かせください!
それでは、また次回!
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