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  • 執筆者の写真Dancing Shigeko

小説『マスカレード・イブ』ホテルの日常と事件が交差する

更新日:2月7日


 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 今年最強の寒波が年末年始に日本を襲うということで、雪が気になります。皆様のところはいかがでしょうか。


 さて、今日は東野圭吾著『マスカレード・イブ』を紹介します!


[登場人物]

新田浩介

 警視庁捜査一課の刑事。八王子南署に設置された特捜本部で、生活課の警官 穂積理沙と組んで事件の捜査にあたる。独自の鋭い視点で事件解決の糸口を導き出し、上司、先輩からも頭の切れる奴と認められている。

山岸尚美

 ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク。ホテル・コルテシア大阪の開業に伴い、ヘルプで大阪に長期出張している。彼女の持ち前の観察力が、事件解決の手がかりになる。

穂積理沙

 八王子南署生活課の警官。八王子南署に設置された特捜本部に駆り出されて、新田と共に捜査に当たることになる。バカにされていると感じ、ホテル・コルテシア大阪では意地になって聞き込みを続ける。その甲斐あって、山岸尚美から気になる話を聞くことに成功する。


[内容]

 山岸尚美は大阪にオープンしたホテル・コルテシア大阪のフロントクラークとしてヘルプに来ていた。また現地スタップの育成も担っていた。東京と大阪とで客層に違いを感じながらも、お客様のためにできることを常に考えて、いろんなお客が来る中、接客を続けていた。時には人気作家のマニアだったり、元彼氏だったりと。そしてその中の一人はのちに重要な参考にとなる。

 新田は警視庁捜査一課に配属され、独自の視点で誰も着目しない部分に注意を払い、事件解決につなげていた。そんな中、泰鵬大学の教授が殺害された事件の捜査にあたる。捜査に一緒に当たった穂積が持ってきたホテル・コルテシア大阪での情報をもとに事件解決につなげるのだった。

[感想]

 マスカレード・ホテルの続編にあたる本作品。

 “それぞれの仮面”、”ルーキー登場”、”仮面と覆面”、”マスカレード・イヴ”の四つのエピソードから構成される一冊。山岸尚美が1、3、4で登場。新田は2、4で登場する。

 前作よりも前の時間軸として描かれて、山岸、新田の二人が直接言葉を交わすことはない展開。しかし、エピローグでは例の人物との接客が描かれて終わるなど、ある一定の繋がりが示される。

 一方で気になるのは穂積経由ではあるけれど、新田は山岸の話を間接的に聞いたことになっている。でも彼女がホテル・コルテシア東京のフロントクラークだったことは知らないということなのか。マスカレード・ホテルでは君があのときの?的な展開はなかったからそういうことなのだろう。穂積の説明も、お礼を言おうと思って、ホテル・コルテシア大阪に電話したら、すでに異動した後だったとだけ聞いている設定。もしそこで東京に異動していると聞いていたら当然、前作の展開も違うことになってしまう。

 殺人事件の現場になりそうだった前作と異なり、今回は、ホテルでの客との出来事が中心に描かれていたのが面白い。特に興味深かったのは、仮面と覆面での客。正体が明かされていない人気作家と、その作家を追いかける五人のマニアの話。作家を一目見ようと五人が知恵を絞って近づこうとする流れ。発信器を埋め込んだ贈り物をフロントに送りつけてきて、それが保管された場所を突き止める流れは、執念に近い。誰かに会いたいために、そこまで徹底的にやる行動が圧巻。そして最終的にとった行動も大胆で面白い。何よりもその五人のマニアからの追跡だけではなく、最後に明かされる事実が、種明かしっぽく描かれていて、謎解き要素も楽しめるからすごい。日常のホテル業務が推理小説的な感じで描かれているあたり、東野圭吾作品を堪能できたように思う。

 もちろん、新田が登場する二つのエピソード。犯人探しにたどり着くために、新田が着目する瞬間までの流れ。その後、どのように謎を解いたのかを少しばかり焦らした後に、謎解きが明かされるという見せ方も楽しめる作りでした。


 読了日:20年12月28日


 皆様の感想も是非お聞かせください!


 それでは、また明日!


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