Dancing Shigeko
小説『銀行総務特命』 銀行の裏に光を当てる

こんにちは、Dancing Shigekoです!
今週の金曜日は休みを取る人が多いです。のんびりとした時間が流れそうです。
さて、今回は池井戸潤作品 小説『銀行総務特命』を紹介します!
[基本情報]
著者:池井戸潤
出版社:講談社文庫
出版年:2011年
ページ数:429ページ
[登場人物]
指宿脩平
帝都銀行の総務部調査役。特命捜査担当者として、行内の不可解な出来事の調査を行う。周囲からは煙たがられている。
唐木怜
帝都銀行の人事部調査役。指宿と敵対する関係だったものの、指宿の部下 鏑木が企画部へ異動後、代わりに総務部に異動になり、指宿の部下になる。
[内容]
漏洩
帝都銀行に広瀬という男から電話が入る。ミカドと名乗る者から顧客リストを買わないかと打診されたという。事実調査に指宿調査役が動き出す。
煉瓦のよう
指宿調査役が新任役員に対して、蔵元建設が多額の損失を出しそうになっていると報告。その原因がその役員にあるのではないかと追及していた。
官能銀行
帝都銀行の女性行員がアダルトビデオに出演しているというスクープが週刊誌に載った。それが誰なのか、事実確認に指宿調査役が動き出す。
灰の数だけ
品川支店長 堂島の妻と娘が誘拐された。身代金を要求される中、指宿調査役は犯人の手がかりを調べるために堂島が関わってきた案件について調べていくのだった。
ストーカー
渋谷支社の女性行員がストーカー被害にあっていると連絡がある。指宿調査薬は人事部の唐木調査役を連れて、調査に乗り出す。
特命対特命
債務部のトレーダー宮野が巨額の損失を出した。その原因が指宿調査役の、秘密裏の調査が原因だとして、人事部の調査役 黒川が指宿の責任を追及していた。
遅延稟議
川崎支社長 水原が暴漢に襲われる傷害事件が発生した。犯人の心当たりを見つけるために指宿調査役は水原の主な取引先を調べていた。その矢先に武蔵小杉支社長 金子も何者かに襲われる。
ペイオフの罠
唐木調査役のところに以前担当していた関口静枝から連絡があった。口座を持っていた京浜銀行が倒産してペイオフ1号になったというニュースを見て、どうしたらいいのか、相談してきた。唐木は相談に乗る中で、京浜銀行の担当に不信感を抱き始めるのだった。
[感想]
8つの異なる銀行にまつわる出来事の裏側を指宿調査役、唐木調査役が調べ上げていく作品。
・お金と権力が人を醜いものにする
どのエピソードも銀行員が中心人物。中には出世コースから外れたものの妬みに近い行動から出た事件だったり、あるいは融資を巡るゴタゴタで恨みを買ったというのが、事件の裏に常にある。こういった内容を読んでいると銀行員というのは、大変だし、人間不信にならないのだろうかと疑問が湧いてくる。実際の銀行ではどうなのか、そういったことに興味が湧いてくる。
銀行勤めの友人に裏事情を聞いてみようかと思う一冊。
・唐木怜は、花咲舞とも異なる役回り
この作品を調べていたときに、『花咲舞は黙ってない』シリーズの一つとして紹介されていた。そのため、どこかで花咲舞が出てくるのかと思ったのだけれど、登場せず、代わりに唐木怜という調査官が登場する。しかし、花咲舞とは似ても似つかない。仕事の質も、性格も対照的。どうやらこの作品は単独の物語だったのだと、最後まで読んで気づいた。
・首都圏を中心とした支店、支社での出来事
東京の雑踏の中の支店、なんとなくその様子が目に浮かぶ。各エピソードがそれぞれ異なる支店、支社での出来事。こうした支店というのはこの先も安泰なのだろうか。これだけたくさんの支店、支社があるのではどうなのだろうかと、今後の銀行事情が気になった。
銀行という世界は、いろんな裏があるのだと感じる作品だった。
読了日:2021年9月21日
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それでは、また次回!