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小説『訴訟合戦 オレ、あした、部長のこと訴えるわ』訴えてやる!

執筆者の写真: Dancing ShigekoDancing Shigeko


 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 今回は小説『訴訟合戦 オレ、あした、部長のこと訴えるわ』を紹介します!


[基本情報]

 著者:竹内謙礼

 出版社:角川文庫

 出版年:平成29年

 ページ数:229ページ


[登場人物]

楠木紘一

 殿山缶詰の営業一課長。離婚歴がゆとり世代に憎しみを作っている。

 落ち着いた感じがある。

寺石俊哉

 殿山缶詰の営業二課長。軽い調子で部下と接する。

 お調子者な感じ。

久保見耕三

 殿山缶詰の営業部長。細かいところまで部下に指示。

 いかにも部長という印象。

飯尾海斗

 殿山缶詰の営業部に所属、入社三年目主任。上司を敵視している。

 若手のリーダー格という印象。

佐山翔太

 殿山缶詰の営業部。飯尾の同僚。法科大学院卒。司法試験に二度失敗して今の職に就く。

 ガリ勉タイプ。

多賀井綾香

 殿山缶詰の営業部、一年目。飯尾、佐山と手を組んで上司を貶めようとしている。

 多部未華子のようなビジュアルをイメージしてしまった。


[内容]

 殿山缶詰は若手社員による上司貶め行為が横行していた。法を盾に謝罪を求めていく。そんな状況の中、会社が競合他社のハマヤ水産に乗っ取られる危機に陥る。その窮地に若手ど上司が協力するのだった。


[感想]

 全七章の作品。

 上司と若手社員の世代ギャップを描く作品。

<誰もが通る道>

・やがて忘れ去るもの

 主任失格、降級願いを出せ、とか女性社員の肩を触るなどでパワハラ、セクハラと訴えられる上司たち。大事にさせないために平謝りさせられる。そんな展開から始まるこの作品。

 この背景が描写されていくのだけれど、部下(若手社員)の仕事っぷりを見て、気になって指導をする。一つ気になりだすと細かい部分も気になって次々と指導してしまう。それが繰り返され、若手社員も自信を失って、徐々に上司を煙たがるようになる。上司たちは、仕事ができない理由をゆとり世代だから、の一言で片付けようとする。

 ところが、振り返ってみると自分が若手社員だった頃にも同じように指導をたくさんされていて、できないのが団塊ジュニアだから、とかその時の呼ばれ方をしている。上司たちとは世代が違うからできないのだ、と言ったレッテルを貼られていた。

 最後の方に描かれていたけれど、部下の仕事のできないのを、何かのせいにしたいだけで、わずか10年や20年の違いで人類が劇的に変化することはないという。結局、責任の所在を自分以外のところに持っていきたいから、そうやって〇〇世代だと言っているのだという話が実に納得感。

 歴史は繰り返されるというか、どこかで誰かがその流れを断ち切らないといけないのだと思う。この作品では上司たちが、歩み寄らないといけないと行動に移していた。他人事ではない世界観だった。


<日本の学生事情>

・他人事ではない

 他人事ではないといえば、若手社員たちの回想。多賀井は夢を持って大学に入ったものの、周りの勉強のしなさに見事に流されてしまって、奨学金の返済だけが残ったという道。

 飯尾は同期がどんどん大きな仕事をしていくという事実にプレッシャーを感じている感じ。佐山は司法試験を2度失敗して、今の会社に入ったという感じ。法改正で弁護士を増やそうとした施策の煽りを受けて、レベル不足な方か大学に通っていたのが敗因っぽい感じで描かれている。

 みんな夢を抱いていたのが、社会人になって、夢忘れるという感じが、他人事ではないように思えてしまう。せめて今から社会人になっていく人たちの夢は打ち砕かれないような世界にしていきたいもの。

<銚子といえば>

・醤油のイメージ

 殿山缶詰の工場が銚子にあるという。銚子といえば、醤油というのが自分の中のイメージなのだけれど、実際に缶詰工場も多いのだろうか。漁港の近くにある工場という意味では缶詰工場も多いのかもしれない。醤油工場の見学に小学生の頃に行ったような記憶が少しばかり残っていて、銚子と聞くと懐かしさがある。


 上司と部下、信頼関係を築いていくにはコミュニケーションが大切と思う作品だった。

 読了日:2023年4月28日


 皆様の感想もぜひお聞かせください!

 それでは、また次回!



 
 
 

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