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小説『街に躍ねる』家族の絆

  • 執筆者の写真: Dancing Shigeko
    Dancing Shigeko
  • 2023年8月14日
  • 読了時間: 4分

更新日:2023年8月17日


 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 今回は小説『街に躍ねる』を紹介します!


[基本情報]

 著者:川上佐都

 出版社:ポプラ社

 出版年:2023年

 ページ数:238ページ


[登場人物]

 小五。本作品の主人公。両親と兄と一緒に生活をしている。

 小学生の時というのは、彼のような感じだったろうか?と思い出すきっかけを与えてくれる。

 高一。晶の兄。訳あって不登校、家で絵を描いて過ごしている。

 絵が上手というのが羨ましい。

朝子

 晶と達の母親。

 のんびりしている印象がある母親。温かく子供達を見守っている印象。

凌平

 晶と達の父親。広告制作の会社で働いている。

 どんなことがあっても子供の味方というスタンスを見習いたい。


[内容]

 ある時から、晶が家に帰ると兄 達が部屋にいた。それ以降、毎日部屋にいる兄に、何をしているのだろうと気になって、帰ると兄の部屋に立ち寄る生活が始まる。

 しかし、やがて大家からクレームがあり、晶の兄と母は、秋田へと引っ越していくのだった。


[感想]

 達を見守る母と、慕う弟の物語。

 二つの章から構成されていて、一章は晶から見た兄 達との生活。二章は母 朝子から見た息子 達の生活。それぞれの視点で描かれているのが特徴。

・不登校の原因

 高一の達。人の目を見て話すことが苦手だという。コミュニケーション障害、と診断されたわけではないのだけれど、どうやらそういう扱い。そのため、学校に行っていても揶揄われてばかり。

 さらに何かに集中すると突如無意識に走り始める癖がある。そういった独特の雰囲気があって、学校での居心地が悪くなって学校に行かなくなる。

 そのことを、母親も弟も詳しく理由を聞こうとしない。そんな様子が描かれる。

 晶が学校の友達を連れてきた時に、バッタリと鉢合わせになってしまい、友達の一人からはコミュ障だと言われ始める。お気に入りの女の子 南からは、兄の行動が可愛い小動物みたいと言われて、複雑な気持ちを味わっている。

 一日中家にいる達。周りからはどう見えるものなのだろう。今の時代だったら、オンライン授業などもあるし、学校に行くことだけが勉学とは限らないのかもしれない、と思う設定。


・小五の弟にとっての兄

 晶にとって6つくらい離れている兄というのはどう見えているのか。小五の時の高一。結構大人のように見えると思う。高一と言えば、それなりに成長しているし、知識量も圧倒的に差がある。いろんなことを知っている兄。

 なぜか分からないけれど、一日中家にいて、絵を描いている兄。しかも、実は父親が違うと聞かされたら、どう感じるものなのか。小五でどこまで物事を理解できるのか。

 本作品はいかにも小五のような視点で描かれているけれど、実際の心のうちまではどうだろうか。結構、晶はしっかりしているように感じてしまっただけに。図書室にある伝記マンガをほとんど読み終わったという描写と、その中から勉強が大事だから中学受験をしようとするあたりは、かなりしっかり者と感じてしまった。自分にはなかった感覚なだけに、羨ましく感じるし、自分も伝記マンガを読み進めてみようか、と思うきっかけにもなった。

・秋田に向かう

 特にすごいと思ったのは兄が秋田に引っ越してしまい、時間が経ってから、一人で会いにいくと言い出すあたり。てっきり父親に連れて行ってもらうのかと思ったら、新幹線に一人で乗り込んで秋田まで向かっている。東京あたりに住んでいそうな晶が一人で秋田まで行く。

 かなりしっかりしている。それこそ小五で一人で新幹線に乗ったら、どんな風に世界が見えるのか。周りは大人ばかりだろうし、見ず知らずの土地だろうし、本当に正しい場所についているのだろうかって思ってしまいそう。

 小学生の頃に一人で見ず知らずの土地に遠出していたなら、どんな思いだっただろうか。


・息子の心のうちを探る

 逆に母親の方はどう感じているのか。その描写が興味深い。あまり深く聴かないようにしつつ、行動から、何を考えているのかを分かるように心がけている。最低限、達が喜んでいるのか、嫌がっているのか、位は分かるように心がけようとしている。

 もし自分の子供がコミュニケーション障害(?という病名なのかわからないけれど)になったなら、あるいは不登校になったなら、どうするだろうか。その理由を根掘り葉掘り聞き出そうとしてしまわないだろうか。それとも行きたくなかったら行かなくていいと言うのだろうか。

 この作品では、どちらでもなく、静かに見守る。話したくなったら、自分から話してくれるだろうと待っている。そう言うスタンス。このような接し方もアリなのかな、と思う展開だった。

 自分だったら、どうするだろうか、自分の時はどう思っていただろうか、など両方の感覚を味わうことができる作品だった。

 読了日:2023年8月14日

 皆様の感想もぜひお聞かせください!

 それでは、また次回!



 
 
 

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