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小説『監禁』今を大切に、に気付かされる



 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 結構、良いペースで読み終わることができた。


 今回は小説『監禁』を紹介します!


[基本情報]

 著者:秋吉理香子

 出版社:双葉社

 出版年:2021年

 ページ数:263ページ


[登場人物]

三田由紀恵

 看護師。娘の舞衣子の育児に専念するためにクリスマスイブを最後に辞める。

雅之

 由紀恵の夫。クリスマスイブ、留守番をして舞衣子の面倒を見ている。

舞衣子

 由紀恵の娘。推定一歳。喘息持ち。

[内容]

 三田由紀恵は育児と看護師の両立が難しいと考え、看護師を辞めることにした。そしてクリスマスイブ、最終日を迎える。家で夫 雅之がしっかり舞衣子の面倒を見ているか、不安に思いながら最終日も忙しく動き回っていた。

 雅之は舞衣子の世話をしながら、料理を準備。ゴミ捨てに行った時に何者かに捕まり、監禁されてしまうのだった。


[感想]

 監禁からの脱出、そうと知らずに看護師最終日を過ごす由紀恵。交互に描写される展開。

・これは単なる脱出劇ではなかった

 一見すると、監禁されている夫と、何も知らない妻。そんな構図が繰り広げられている。

 最終日にも関わらず、忙しく仕事をこなしていく由紀恵。雅之からの返事がなく、愛娘の世話をちゃんとやっているのか不安を積もらせていく様子が描かれる。

 その頃、雅之は由紀恵のストーカーに命を狙われている。この描写のギャップに緊張続き。

 ところが、実はこの監禁から脱出するまでの緊迫感が肝なのかと思っていたら、予想外の展開が待ち受けている。この展開は是非とも堪能してもらいたいと感じた。


・夫婦が抱える育児の悩み

 そんな監禁からの脱出、看護師としての忙しさを描くだけではなく、育児における男女間の意識の違いが実に生々しく描かれる。

 雅之の「俺もできることは可能な限り手伝っている」と言えば、「当事者意識がない」と苛立ちを示す由紀恵。こんな感じのやりとりが実に細かく描写されている。そのやりとりには、自分自身にも身に覚えがある部分があって、育児の姿勢に対して考えさせられる。

 ある意味、一番現実的な描写で恐ろしくなる部分だったと言っても過言ではない見せ場。

 

・真っ暗な地下室

 コンクリートの床に真っ暗な部屋。そして凍えるほどの寒さ。クリスマス前日の真冬に暖房の効いていない部屋がどれほど寒いのか。その描写を読みながら想像してみる。いかに普段、恵まれた環境にいるのか、と考えてしまう。そんな凍えるような環境で死の恐怖と戦っている。

 対照的に由紀恵は病院で夜勤をこなす。そこでは患者と向き合うので手一杯の感じが滲み出ている。病院では殺される恐怖ではなく、死と向き合う現実が描かれる。

 このギャップに緊張と込み上げるものが入り乱れる感じだった。


・人に認められるということの意味

 あなたはちっとも看護師の仕事を分かっていないと、散々師長から言われてきた。その事も由紀恵は辞める決心に結びついている。

 ところが最終日、師長と一緒に夜勤に入った由紀恵は、急変した患者の死や、横柄な医者の態度に対する毅然とした態度など、で師長の知られざる一面を知る。さらには手作りのクリスマスブーケまで受け取る。嫌になって辞めていくはずだった看護師という仕事をまたやるという。

 これは師長に認められたことが、由紀恵の看護師復帰を決意させたのだと思うと、人はこうして認められることが大切なのだと、改めて感じた。それを伝えることが大切なのだとも思った。


・人生の転機にやり直す

 由紀恵は看護師最後の日に患者を一人救えず命の尊さを痛感する。そして雅之は監禁という状況を体験して、今の大切さを感じる。お互い育児のことで衝突していたことも含めて生きていているのだと痛感する。

 最後まで読み終えて、真っ先に感じるの、今までのできていなかったこと、揉めていたこと、うまくいかなかったこと、それもまた全て生きているからこそ感じられること。そして、これから先がいつまでも続くとは限らないということを強く感じさせる。いかに今を大切にしていくかを、訴えてくる内容だった。


 今を大切にしないと、気づかせてくれる一冊だった。


 読了日:2022年4月15日


 皆様の感想も是非お聞かせください!


 それでは、また次回!



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