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小説『パン屋再襲撃』六つの村上ワールドが広がる

  • 執筆者の写真: Dancing Shigeko
    Dancing Shigeko
  • 2021年12月5日
  • 読了時間: 3分

 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 特別自治市を目指す政令指定都市は全国で9市。しかし、府県の方はその方針に難色を示している。一本化は遠そうである。


 今回は村上春樹作品 小説『パン屋再襲撃』を紹介します!


[基本情報]

 著者:村上春樹

 出版社:文春文庫

 出版年:1989年

 ページ数:221ページ


[登場人物]

 名前がほとんど出てこないため、特定難しい。


[内容]

 短編6つからなる一冊。

パン屋再襲撃

 真夜中に空腹に襲われた夫婦。僕が過去のパン屋襲撃の話をしたら、妻は今すぐ再襲撃しようと夜中の街出かけていった。そしてマクドナルドを襲うのだった。


象の消滅

 街で飼っていた像が消えた。そのことを僕は気になっていた。


ファミリー・アフェア

 妹が結婚することになった。僕は妹の婚約者と食事をす流のだったが。。


双子と沈んだ大陸

 昔一緒に住んでいた双子が雑誌の写真に映っていた。僕はその写真から、彼女たちの今を想像した。


ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界

 僕が1週間を振り返って、まとめて日記を書いていると彼女から電話があった。しかし強風の音で何も聞こえないのだった。


ねじまき鳥と火曜日の女たち

 失業中の僕は家事をして過ごしていた。妻から頼まれていた猫探しのために出かけると一人の少女と出会い、不思議な体験をするのだった。


[感想]

 村上春樹ワールドが堪能できる一冊。

・いくつかのストーリーで登場する渡辺昇

 ファミリー・アフェアの妹の婚約者が渡辺昇。さらに双子の写真を見つけた僕が働く医院の同僚が渡辺昇。そしてねじまき鳥のエピソードで探しに行った猫の名前が渡辺昇。猫の名前の由来は妻の兄の名前だという。

 これは全て同一人物なのか。となると、渡辺昇を中心に、いくつかのエピソードの人物は繋がっていることになる。その繋がりが一体、何を意味していたのか。その部分を想像すると奥深い。


・いずれのエピソードも続きがありそう

 どのエピソードもまだ先がありそうな展開の終わり方。特に双子のエピソードは、僕は結局、どうなったのか。双子を見つけたのかどうか。

 ねじまき鳥のエピソードでは、電話をかけてきた女が誰だったのか。さらに猫を探しに行ったときにお邪魔した家の少女はどこに消えたのか。その消えたことと猫が見つからないことは繋がっているのか。彼女が猫だったのかと想像してしまう。

 象の消滅では、象がどこに消えていったのか、などもう少しその後の展開を知りたいと思うものが多かった。そこはつまり読者に委ねられたということなのか。

・男と女の関係が常に中心

 いずれのストーリーでも基本的には僕(男性)が語り手。そして女がいる。妻だったり、妹だったり、恋人だったり、去っていった双子だったり。村上春樹の世界では、常にこの男女の関係が中心に描かれている。それは男性にとって、女性はなくてはならない存在だというのを描いているようにも感じられる。


・一番印象に残ったのは…

 ファミリー・アフェアの妹との関係だろうか。妹の結婚、それが影響しているわけではなさそうだけれど、お酒を飲みすぎてしまう。妹は、兄が偏狭だと言いながらも、最後に兄を気遣う様子を見せる。その二人の関係には兄妹の絆が感じられ、他のエピソードと異なり、一応描きたいものが何だったのかが伝わってくる内容だった。


 それぞれのエピソードについて、語り合ってみたいと思う内容の一冊だった。

 読了日:2021年12月5日


 皆様の感想も是非お聞かせください!


 それでは、また次回!



 
 
 

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