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小説『ナミヤ雑貨店の奇蹟』時空を超えてつながる人間関係




 こんにちは、Dancing Shigekoです!


 だいぶ一冊を読み切るのに時間がかかってしまった。


 今回は東野圭吾作品 小説『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を紹介します!


[基本情報]

 著者:東野圭吾

 出版社:角川文庫

 出版年:平成26年

 ページ数:413ページ


[登場人物]

敦也、翔太、幸平

 強盗をして、ナミヤ雑貨店に逃げ込んだ3人組。

浪矢雄治

 ナミヤ雑貨店の店主。妻が亡くなって以来、悩み相談の対応をするのを楽しんでいる。


[内容]

 敦也、翔太、幸平の3人は廃屋となったナミヤ雑貨店に逃げ込んだ。強盗をした直後の彼らは警察からナミヤ雑貨店で身を潜めていた。すると玄関先のシャッターが揺れる音を聞く。様子を見に行くと、そこには手紙が落ちていた。

 その中身を見ると月のウサギと名乗る女性からの悩み相談の手紙だった。実はナミヤ雑貨店は、浪矢雄治が、悩み相談の手紙に返事を書いて、翌朝までに牛乳箱に入れておくことで有名なお店なのだった。


[感想]

 ナミヤ雑貨店の悩み相談を描く一冊。

・タイトル通りの奇蹟

 手紙が時空を超えて行き交う。その手紙に励まされて、人生を変えた人々が他の人たちに影響を与えていく。そして巡り巡って、敦也ら3人にも戻ってくる。この構図を奇蹟と呼ばず、なんと呼ぶのか。

 描かれ方も敦也ら3人側の視点から描かれていたと思ったら、今度は魚屋アーティストの視点になってみたり、浪矢雄治と息子の貴之視点になってみたり、手紙の中で存在していたり、と実に巧妙。各章の出来事がどこかの章で繋がっていて、それぞれをつなぎ合わせていくと一つの大きな奇蹟になっている。

 実に巧妙な作りだった。


・魚屋ミュージシャンが残したもの

 描き方以外にも内容も充実。特に印象に残ったのは魚屋アーティスト。自分の進むべき道がアーティストなのか、実家の魚屋を継ぐことなのか、悩んでいた松岡克郎がナミヤ雑貨店に手紙を入れる。その回答は納得のいくものではなかったが、何度かやりとりして、克郎は自分の進むべき道を決心する。

 ところが、児童養護施設の火事で命を落としてしまうという結末。その後のエピソードで彼の意思を継いだものがいることが描かれる。

 さらに何度となく、火事に関して描写されている。違った人物がその火事の時の心境を語っている。その関わり方も実に奥深かった。

・渡されたメッセージ

 途中の登場人物も、最後に登場した武藤晴美もみな、それぞれに個性的な人生を送ってきていたけれど、それぞれのエピソードだけではなく、最後に敦也らが受け取った手紙が実に意味深。

 人生に迷っている人たちへのメッセージとも受け取れるその内容は、実にベタではあるけれど、大きな励ましになるメッセージ。是非とも読み届けてほしいと思う結末だった。

 全体にわたって感動が絶えない一冊だった。


 読了日:2023年10月23日


 皆様の感想もぜひお聞かせください!


 それでは、また次回!





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