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小説『カプチーノ・コースト』ゴミ拾いで見つめ直す仕事


 こんにちは、Dancing Shigekoです!

 今回は小説『カプチーノ・コースト』を紹介します!


[基本情報]

 著者:片瀬チヲル

 出版社:講談社

 出版年:2022年

 ページ数:172ページ


[登場人物]

早柚

 本作品の主人公。海の近くに住む会社員で休職中。海でのゴミ拾いにして生活するようになる。

 ゴミ拾いをしている時の心理描写が興味深い。


[内容]

 早柚は休職中に近所の海辺のゴミ拾いをするようになる。そこでいろんなゴミを拾っているうちに意味のあることをしていると感じる。一方、仕事に対する疑問も膨らんでいく。ゴミ拾いしている時は仕事のことを忘れられると思って、専念しているいろんな人と出会うのだった。


[感想]

 早柚が海岸のゴミ拾いをしながら、いろんな人と出会う一冊。

・もし自分だったら?

 早柚はパワハラ上司にたてつき、それから2ヶ月の休職を取る。その間に海でゴミ拾いをすることに目覚める。最初は軍手と自前のビニール袋を持って拾い集める。それを市役所に持っていくとボランティア用のゴミ袋が渡され、ゴミ回収場所も教えてもらう。そういった始まりの本作品。

 もし自分が海に近いところに住んでいて休職したなら、同じことをしただろうか。

 休職という選択肢を取っただろうか、というところに辿り着きそう。

 早柚と同じ立場だったら、という考えを忘れ、早柚がいろんなゴミを拾い、いろんな人と出会い、ゴミ拾いが日課のようになっていく早柚の様子を見ていると、自分も海でのゴミ拾いをしてみようかと思う。

 ただボランティアという壁にやっぱり難しいか?と思ってしまう。

 そして、もし海でのゴミ拾いを上手にビジネスに繋げられたらと想像をしてしまう。

 海が綺麗になったら、観光客が増やせる、というのを市へ訴え、観光客が増えて、税収が上がったら成功報酬としてお金をもらうとか、どうだろうか、などと想像してしまう。

 と、お金のために海を綺麗にしようと思う自分は、早柚ほどピュアじゃないと感じてしまった。


・ボランティアでゴミを拾う人たち

 この作品には実にいろんなゴミ拾いをする人たちが出てくる。

 拾ったものを見せ合って、その一つを使って話をする人たちや、誰とも親しくならず、とりあえず話をして去っていこうとする人や、ゴミを拾うたびに感謝を口にする人など実にたくさん。

 こう言った海の掃除をする人というのは、実際にどのくらいいるのだろうか。

 物語の流れから、拾ったゴミから、そのゴミにまつわる話が中心になるのかと思っていたら、同じゴミを拾う人たち同士の繋がりの話が中心だった。そういう世界観。

 休職中の早柚を心配して、様子を見にきてくれる親友の灯里との描写も面白い。元気にゴミ拾いしている早柚の姿を見て安心して、一緒にゴミ拾いを始める。そして綺麗になっていくのを一緒に楽しんでいる。

 後日、一緒にまたゴミ拾いをする。本当に早柚のことを心配している親友がいるというのと、早柚の価値観に賛同して協力してくれるというのは、本当にいい友達だと思う。

 海でのゴミ拾いを通じて、いろんな人たちと会うというのは、自分の知らない世界だった。

・無関心な人たち

 ゴミ拾いしている姿を見て、ゴミを拾って何になるの?と否定的な人たちや、自分のゴミを捨てたいがためにゴミ拾いを手伝う人たちや、ゴミだとわかって立ち去っていく人たちなど、実に多くの無関心というか、自分勝手な人たちも多い。

 さて、自分だったら?そもそもゴミ拾いしている人たちに気づけるだろうか。それに気づいたとして話しかけるだろうか。いろんな疑問が湧いてしまう。

 

 海でのゴミ拾いがメインの物語だけれど、不思議とそこにはいろんな人生観があり、自分も海辺でゴミ拾いに挑戦してみようかなと思う作品だった。


 読了日:2023年8月29日

 皆様の感想もぜひお聞かせください!


 それでは、また次回!



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