こんにちは、Dancing Shigekoです!
今回は小説『アリバイ崩し承ります』を紹介します!
[基本情報]
著者:大山誠一郎
出版社:日本社文庫
出版年:2019年
ページ数:306ページ
[登場人物]
美谷時乃
鯉川商店街の時計店店長。アリバイには時間が必ず関係する。時計屋こそがアリバイ崩しにふさわしいと祖父から学び、アリバイ崩しを受ける
主人公
警視庁捜査一課 刑事。春に異動になってきた若手刑事。休日に腕時計が止まっていた事がきっかけで偶然、美谷時計店に入った。
[内容]
若手刑事が休日に偶然入った時計店。その貼り紙に「アリバイ崩し承ります」とあり、守秘義務違反と思いながらも、現在抱えていた事件について相談する。一通り話を聞いた後に、時乃は
「時を戻すことができました。アリバイは、崩れました!」
と言って、アリバイを崩すのだった。
[感想]
全7つの章で構成される。時計屋の時乃がアリバイ崩しを華麗に見せる一冊。
・ウサギのような顔つきの時乃
主人公の刑事の名前は最後まで出てこなかったように思うのだけれど、彼曰く、時乃はどこかウサギを思わせる表情なのだとか。どんな感じなのだろうか。そのちょこんとした感じの雰囲気がこの作品にあっているようにも感じる設定。実写化されたら、誰が演じるのか。
一方、全く人物像が見えない主人公。こちらは若手というのがわかる。それ以上の描写がなく、イメージするのが難しい存在だった。
・7つのアリバイ
ストーカー被害で殺害された教授、凶器の拳銃から犯行が固いとされる人物のアリバイ、交通事故で死亡した男性が話した殺人のアリバイ、山荘に休暇に行った時のアリバイ、時乃が祖父に教わったアリバイトリック、大学生の男が音楽配信のダウンロードを使ったアリバイ、ピアノの先生が自宅で殺された事件、それぞれに個性的な内容。
祖父が使ったトリックはサスペンスでよく見かける系統のもので、大体想像がついたものの他のアリバイは想像を超える内容が多かった。一緒に考えるのが面白い展開。
・鯉川駅前商店街
舞台は鯉川商店街にある時計屋。アーケードのような気配がある商店街。そこにポツンとある時計屋。昔ながらの商店街なのだと想像される。そして中にはびっしり時計が置かれている。それはまるでバックトゥザフュチャーのドクの部屋を思い起こさせる。そこにいる時乃。結構、不思議な構図。
・みんなあっさり罪を認める
どの作品も共通して、時乃がアリバイ崩しをすると、ことごとく犯人が罪を認めていくエピローグが描かれていたこと。誰一人として言い逃れをしようとしないあたりが不思議。あまりにも淡白すぎて、犯人像があまり残らない感じの流れと感じた。
・最後の展開の意味は?
いつも作業服姿の時乃。事件が解決できたことを報告にいくと、その日は時計屋がしまっている。残念がっていると、そこに私服姿の時乃が現れる。これから祖父のお墓参りに行くのだと。その服装を見て、主人公の刑事はハッとした様子を見せる。
この作品、続編が既に発表されているけれど、この刑事と時乃の間に恋が芽生えるのか?時乃のキャラクターからすると、恋愛には無縁な感じもするけれど、果たしてどんな将来が待っているのか。そんなことを期待させる終わり方だった。
一緒に謎解きするのを楽しメル一冊だった。
読了日:2022年4月9日
皆様の感想も是非お聞かせください!
それでは、また次回!
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